[JM:03366] 著作権法上、前翻訳者の成果を後任者が破棄する危うさについて

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matsuand michi****@gmail*****
2022年 3月 15日 (火) 17:23:20 JST


matsuand です。
直近において著作権法に関係する投稿を行っており、
その本流部分は、しっかり続投するつもりですが、
掲題のとおり、「・・・後任者が破棄する危うさ」に関して
のみ、ここで前触れとして示しておきたいと思います。

想定状況
・パッケージPに対する翻訳成果物をメンバーAが
 生成しリリース済み状態にある。
・同一 P に対する翻訳成果物として、別のメンバー
 Bが、Aの成果を破棄し、B自身の成果物に
 置き換えてリリース済み状態とした。

これまでの白方さんや元木さんの言から類推すると
上記のように後任翻訳者となったBさんは、どう訳すか
について自由裁量が委ねられていて、前訳であるAさん
の成果を受け継ごうが、破棄して新たにするかは
自由である、とお考えであると解釈しています。

これはどうも著作権法上、まずそうです。
著作権法に「公衆送信権」というものがあります。
インターネット上に著作物を公開する権利である
と思えば良いと思います。Aさんには自身の著作物
に対する公衆送信権があります。BさんがAさんに
無断、無許可でAさんの著作物を破棄することで
公開状態からはずしたら、公衆送信権の侵害に
あたると思います。

侵害に対しては刑事罰があり、懲役か罰金があり
えます。これとは別に民事訴訟上の損害賠償請求
もありえます。

---

何よりも本プロジェクトには、上のような想定もなく
内部規定もありませんから、一度争訟となった場合
にはたぶんモロイはずです。これへの対処としては、
著作権者間での合意を図る道筋をきっちり構築
しなければなりませんが、最も手っ取り早い策は、
むやみに「後任者の裁量に任せて自由に取り扱う」
という、危うい行為を避けることかと思います。

後々、この論を展開したり派生させたりした
ケースも、必要に応じて論じていくかもしれません
ので、心にとどめておいて頂きたくお願いします。


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