[JM:00950] Re: coreutils.info のチェック (第 4 - 6 章)

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Akihiro Motoki amoto****@gmail*****
2013年 10月 14日 (月) 00:44:23 JST


元木です。

supposed to に関して、自分の思いはもう書き切ったので、これ以上のコメントはありません。
納得のいく言い回しにしてもらえればと思います。
日本語はもともとこの辺りの言い回しは厳密ではなく、推し量る言語だと、
もっと文語的に言うと、慮る言語だと思いますので、直訳するのは難しい場面が多く、
今回のものは直訳するのが難しい場面だと思っています。

> この文の基本構造は、「MD5 ダイジェストは ... 信頼性が高い」であり、
> ほかの部分はそれを修飾したり限定したりしているだけである。
> それなのに、
>
>   MD5 ダイジェストはファイルの不測の損傷を検知することに関して、単純な
>   CRC よりも信頼性が高い。
>
> と、ここに読点を置くと、「MD5 ダイジェストは」と「... 不測の損傷を
> 検知する」とのつながりが強くなりすぎて、「MD5 ダイジェストは」と
> 「信頼性が高い」のつながりが弱くなってしまう、ということですね。
>
> 基本的に、「は」という格助詞の機能は提題ですから (「何々について
> 言うと」ということ)、その働きは文の最後まで続きます。ですから、
> この場合なら、どこに読点を置こうと、「MD5 ダイジェストは」は、
> 構文上では「信頼性が高い」にかかり、文の構造は変わらないと思います。
>
> しかし、読点の位置によって、読みやすさや構文の取りやすやが変わることは、
> よくありますし、場合によっては単語や句の掛かり方が変わってしまうことも
> あります。ですから、「... 関して」の後ろで読点を打たない方がよいと
> いうのは、神経の行き届いた考え方だと思います。

はい、その通りです。

おそらく自分の文章の読み方が影響しているのだと思いますが、
自分が読む際には、読点での区切りを見て、その中で文章の関係を見ることが多いです。
「は」が係るところは決まっていますが、自分の中では、読点はかなり区切りが強く、
読点の区切りで読んでみて、文章が繋がらない場合は、読点をまたいで読み直して
文章を理解する流れです。その意味で、長南さんの訳を読んでいた際には、
3回くらい行ったり来たりしたという点だけコメントしておきます。

「は」があるので、文章のつながりは保証されるというのは、書き手の都合だと思っています。
文章を書いていると、前半と後半で主語がずれても気づかない場合がありますが、
読む際にも、「は」があっても読点があると、ぱっと見た場合にはひとつの文だと
気づかないこともあることも多々あると思います。

以上です。

2013/10/13 長南洋一 <cyoic****@maple*****>:
> 長南です。
>
> メールを短くするために、引用をちょん切りすぎたかもしれません。
>
> 元木さんのメールより [JM:00948]
>>
>>>>> `-z'
>>>>> `--elide-empty-files'
>>>>>     Suppress the generation of zero-length output files.  (In cases
>>>>>     where the section delimiters of the input file are supposed to
>>>>>     mark the first lines of each of the sections, the first output
>>>>>     file will generally be a zero-length file unless you use this
>>>>>     option.)  The output file sequence numbers always run
>>>>>     consecutively starting from 0, even when this option is specified.
>>>>>
>>>>>     サイズ 0 の出力ファイルができないようにする (入力ファイルを部分に
>>>>>     区切る行が、各部分の最初の行でもある。そういう想定の場合に、この
>>>>>     オプションを使わないと、一番目の出力ファイルがたいていサイズ 0 に
>>>>>     なる)。このオプションが指定されているときでも、出力ファイルの
>>>>>     連続番号が 0 から始まって、順番に増えていくことに変わりはない。
>
>>>>>   "In cases ..." の "are supposed to" がうまく訳せないでいます。
>
>> be supposed to は仮定だと思います。
>> 「〜という状況を考えると」といった感じだと思います。
>> 「なることになる」はちょっと意味が違うと思います。
>
> 直訳すると、「... ということが仮定される (されている) 状況では」かな。
> その「仮定される」をどう訳せばこの場合適切かで、のたうちまわっている
> わけです。
>
> suppose の中心的な意義は「仮定する」ですが、辞書には suppose の訳として、
> 次のようなものも載っています。
>
> 研究者 リーダーズ+プラス
>   be supposed to do ...
>   ... することになっている。
>     Everybody is supposed to know the law. 法律はだれもが知っていることに
>     なっている 《知らなかったといってのがれられない》.
>
> 小学館 ランダムハウス
>   suppose
>     --- (省略) ---
>   8 ((受身で)) 予期する、期待する、要求する (expect) ((to つき不定詞を
>     伴う)) --  He was supposed to call a girlfriend  at ten-thirty.
>     十時半にガールフレンドに電話することになっていた。(以下略)
>
> この訳し方を応用できると思いました。直訳してみます (見やすさを考えて、
> 原文をもう一度出しておきます)、
>
>   In cases where the section delimiters of the input file are supposed
>   to mark the first lines of each of the sections,
>
>   インプットファイルのセクションデリミタが、各セクションの最初の行を
>   印付けることになっている場合に
>
> もう少し日本語らしくすると、
>
>   入力ファイルを部分に区切る行が、どの部分においてもその最初の行に
>   なるように想定 (予定、期待) されている場合に
>
>> 以下でも「現れるようにする」は個人的には変だと感じました。
>> 「現れるような場合」の方が個人的にはしっくり来ます。
>
> ここで、見方を少し変えて、suppose するのは誰かを考えてみます。
> 「法律はだれでも ...」の例なら、社会とか世間とかでしょう。問題の原文の
> 場合は、結局 csplit の実行者だと思います。実行者が、各部分の最初の行に
> デリミタ文字列が来るようにしようと思う。そこで、少し飛躍した訳ですが、
>
>   入力ファイルを部分に区切る文字列が、各部分の最初の行に現れるように
>   する場合に
>
> あるいは、
>
>   入力ファイルを部分に区切る行を、どの部分でもその最初の行にする場合に
>
> このようにしても、言っていることは大体同じではないかと思ったわけです。
> "be supposed to" を何とか生かそうとして、ひねくりまわした訳ですし、
> たいして分かりやすくもなっていないので、自分でも気に入っているわけでは
> ありません。それで、元木さんがおっしゃった「入力ファイルの区切り行が
> 各部分の最初の行のような場合には」のような "be supposed to" にあまり
> こだわらない訳し方も確かにあるな、と思いました。わたしは、"be supposed to"
> のような言葉を省略せずに訳したいと思う方ですけれど。
>
>>>>> 6.4 `md5sum'
>>>>>
>>>>>       Note: The MD5 digest is more reliable than a simple CRC (provided by
>>>>>     the `cksum' command) for detecting accidental file corruption, as the
>>>>>     chances of accidentally having two files with identical MD5 are
>>>>>     vanishingly small.  ...
>
>>>>>        注意: MD5 ダイジェストは、ファイルの不測の損傷を検知することに
>>>>>     関して、単純な CRC (`cksum' コマンドで使用できる) よりも信頼性が高い。
>>>>
>>>> 「検知に関して」の方が読みやすいです。
>>>
>>> 「ファイルの不測の損傷の検知について」と「の」を三つ続けたくなかった
>>> のです。「MD5 ダイジェストは、」の読点を取れば、このままでも少し読み
>>> やすくなるのではないでしょうか。
>>
>> 読点を単にとればよい問題ではないと思います。
>> この文の骨子が崩れてしまうからです。
>> この文章の骨子は「MD5 ダイジェストは単純な CRC よりも信頼性が高い」で、
>> 「〜に関して」と訳されている部分はあくまで条件にすぎません。
>> 読点を単純に消すということは、「MD5 ダイジェストは」と「〜に関して」を
>> 一体にするということなので、文脈上変になります。
>
> おっしゃっていることがわかりませんでした。それでも、何度か考えている
> うちに、何となくわかってきたような気がします (まだ、誤解しているかも
> しれませんが)。
>
> この文の基本構造は、「MD5 ダイジェストは ... 信頼性が高い」であり、
> ほかの部分はそれを修飾したり限定したりしているだけである。
> それなのに、
>
>   MD5 ダイジェストはファイルの不測の損傷を検知することに関して、単純な
>   CRC よりも信頼性が高い。
>
> と、ここに読点を置くと、「MD5 ダイジェストは」と「... 不測の損傷を
> 検知する」とのつながりが強くなりすぎて、「MD5 ダイジェストは」と
> 「信頼性が高い」のつながりが弱くなってしまう、ということですね。
>
> 基本的に、「は」という格助詞の機能は提題ですから (「何々について
> 言うと」ということ)、その働きは文の最後まで続きます。ですから、
> この場合なら、どこに読点を置こうと、「MD5 ダイジェストは」は、
> 構文上では「信頼性が高い」にかかり、文の構造は変わらないと思います。
>
> しかし、読点の位置によって、読みやすさや構文の取りやすやが変わることは、
> よくありますし、場合によっては単語や句の掛かり方が変わってしまうことも
> あります。ですから、「... 関して」の後ろで読点を打たない方がよいと
> いうのは、神経の行き届いた考え方だと思います。
>
> なお、MD5 が CRC より信頼性が高いのは、一般的、本質的にそうなのであり、
> 「ファイルの不測の損傷の検知」についてのみではない。だから、「... 検知
> することに関して、」とここに点を打つと、「... 検知」が際立ちすぎる。
> そうおっしゃっているのではないかとも考えました。これも確かにそのとおり
> なのですが、こちらではないでしょうね。
>
>>>>>     However, it should not be considered secure against
>>>>>     malicious tampering: although finding a file with a given MD5
>>>>>     fingerprint is considered infeasible at the moment, it is known how to
>>>>>     modify certain files, including digital certificates, so that they
>>>>>     appear valid when signed with an MD5 digest.  For more secure hashes,
>>>>>     consider using SHA-2.  *Note sha2 utilities::.
>
>>>>>     だからと言って、悪意のある改竄に対して安全だと考えては
>>>>>     ならない。ある特定の MD5 指紋を持つファイルを見つけ出すことは、現在の
>>>>>     ところ事実上不可能だと考えられているが、デジタル証明書を含むある種の
>>>>>     ファイルが署名に MD5 ダイジェストを使用しているとき、そうしたファイル
>>>>>     に手を加えて、有効に見えるようする方法なら、周知のことだからである。
>>>>>     もっと安全なハッシュ値が必要なら、SHA-2 の使用を考慮した方がよい。
>
>>> このようにさっぱりわかっていないので、この部分はわたしの手に負えません。
>>> 訳文が大体通用するようならよいのですが、そうでないならば、適切な案を
>>> 教えていただけると、ありがたいと思います。
>>
>> 意味がわからないという話だったので、訳へのコメントは避けていたのですが、
>> コメントします。訳はだいたい正しいと思います。
>> certain files は「ある種のファイル」と訳すのに個人的には違和感がありますが、
>> まあいいです。「certain」といっているのは「MD5 で署名されている」のと関係が
>> あるのではないでしょうか。訳としては「ある種の」がない方がしっくり来ます。
>
> ありがとうございます。安心しました。
>
> certain files を「ある種のファイル」と訳すことについては、自分でも
> 気に入っていません。certain は、確かに省略してもよさそうですね。
> もう少し工夫してみます。
>
>>> なお、valid は「有効、正当、正規のもの」などを考えました。、どれもイマイチ
>>> ピッタリしないと思っていたのですが、「有効」より「正当」の方がよいですか。
>>
>> この場合は「正当」の方がよいと思います。
>
> そうすることにします。
>
> --
> 長南洋一
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