性能を強化した「Kubernetes 1.1」がリリース

 GoogleのKubernetes開発チームは11月9日、コンテナ/クラスタ管理ツール「Kubernetes 1.1」をリリースした。性能の改善に主眼が置かれている。

 KubernetesはLinuxコンテナを扱うクラスタの管理システム。Dockerコンテナを利用したオーケストレーションシステムとしてGoogleが開発しオープンソースとして公開している。

 Kubernetes 1.1は、7月に公開されたバージョン1.0に続く最新版となる。Kubernetesは当初からGoogle級のワークロードに対応するアーキテクチャを持っていたが、本バージョンではこれをさらに強化して数千級のノードで構成されるクラスタ環境で利用できるようになった。単一のクラスタに対して百万件ものQPS(1秒で処理できる問い合わせ数)も実現可能という。

 ネットワークスループットも強化し、1.1ではネイティブIPテーブルを利用できるオプションが加わった。これにより遅延が80%改善されるという。また、CPUのオーバーヘッドをほぼ完全に無くし、信頼性も改善できるという。

 これらに加えて、HTTPロードバランサー、Jobオブジェクトなどがベータ版機能として導入された。前者はパケット内容に応じてHTTPトラフィックをルーティングする機能を盛り込むもので、これによりサービスに応じて異なるルーティングを利用できる。後者のJobオブジェクトはコミュニティからの要求が多かったというバッチ処理統合に対応するもので、サムネイル作成のためにイメージのバッチ処理をしたり、いくつかのチャンクに分かれている大規模なデータ向けにワークロードを動かしたり、成功するまでリスタートするAPIオブジェクトを導入した。

 また、複数のコンテナで構成されるクラスタの単位となる「Pod」で、水平方向へのオートスケールにベータ対応した。これにより、CPUの利用率に合わせてPodのスケールアップとダウンが可能となる。

 開発関連では、コンテナをインタラクティブに動かす機能やスキーマバリデーションの改善などによりテストサイクルを短期化するという。また中断することなくアップデートをリリースできるローリングアップデート機能も強化された。

Kubernetes
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