20周年を迎えたOpenBSD、「OpenBSD 5.8」を公開

 OpenBSD開発チームは10月18日、BSD系UNIX OSであるOpenBSDの最新版「OpenBSD 5.8」を公開した。この日はOpenBSDプロジェクトがちょうど20周年を迎えた日であり、恒例のリリースソングは「20 Years Ago Today」「Fanza」「So Much Better」「A Year in the Life」の4曲。過去から現在に至る開発者の顔の入ったアートワークも提供する。

 OpenBSD 5.8は、2009年に公開された5系の最新版となる。OpenBSDの特徴の1つであるセキュリティをさらに強化し、sudoコマンドがdoasコマンドに置き換えられた。doasは「Dedicated OpenBSD application subexecutor」の略。sudoも引きつづきパッケージとして提供され、システム管理などの用途に利用できる。また、指定されたファイルの形式を判断するfileコマンドが新たな実装のものに置き換えられた。サンドボックスと特権分離を含む新しいモダンな実装になっているという。

 このほかにもi386でのNX(No-eXecute)サポート、ELFヘッダのカーネルチェックの改善、SPARC向け静的PIEのサポートなども加わった。

 ルーティングデーモンやユーザーランドネットワークでは、bgpdとospfdのログメッセージの強化や、VPN向けのデフォルトのディフィー・ヘルマン鍵グループのmodp3072への変更などが行われている。

 インストーラも改善されており、ルートでのSSHログインを許可するかを問う「Allow root ssh login?」設定のデフォルト値が「No」となったほか、選択肢に「prohibit-password」が加わった。autoinstallの拡張、ntpdがインストール時からデフォルトで有効となるといった変更点も加わっている。

 8月に公開されたOpenSSH 7.0をはじめ、OpenBSD httpdやOpenSMTPD 5.4.4などが最新のバージョンに更新されている。OpenBSDによるSSL/TLSプロトコルのフリー実装プロジェクトLibreSSLも盛り込んだ。

 USB Power Devices(UPS)向けのupdドライバ向けのセンサーサポートの強化など、ハードウェアサポートも多数改善された。このほかバグも多数修正されており、Chromium、Node.js、Emacs、OpenLDAP、GCCといったパッケージも更新されている。

 プロジェクトが20周年を迎えたことについて、OpenBSDプロジェクトを開始したTheo de Raadt氏は20年前、「周囲でも恵まれていた」環境である64kbpsのISDN回線を利用してESDIドライブが2台ついたEISAバスにインポートするのに3時間を要したことなどのエピソードを明かしている。それから20年後、プロジェクトは平均すると1日44件、合わせて32万2000のコミットがあるという。

 OpenBSDはプロジェクトのWebサイト経由でパッケージ、インストール用のISOイメージなどを入手できる。ライセンスはBSD License。

OpenBSD Project
http://www.openbsd.org/