クラウドを強化した「Fedora 16」が登場

 The Fedora Projectは11月8日、Linuxディストリビューション「Fedora 16」(開発コード「Verne」)を公開した。Linuxカーネル 3.1を採用、デスクトップ環境としてはGNOME 3.2およびKDE 4.7を搭載する。Trusted Boot対応やGPTのデフォルト化、GRUB 2の採用といった多くの変更や機能強化が行われている。

 Fedora Projectは米Red Hatの出資を受けるオープンソースプロジェクト。6か月おきのリリースサイクルに基づいて開発を進めており、Fedora 16は5月に公開されたバージョン15以来の最新版となる。リリースを告げるメールでFedoraチームは先に逝去したC言語とUNIXの開発者、Dennis Ritchie氏の功績を讃え、本リリースをRitchie氏に捧げると記している。

 大きな変更点としては、ブートローダがGRUB1からGRUB2に変更され、ハードディスクのパーティショニング方式として「GPT(GUID Partition Table)」がデフォルトとなった。GRUB2はx86アーキテクチャ以外のサポート、柔軟な設定などの特徴を持ち、ほかのディストリビューションでも採用が進んでいる。また、一般ユーザーのUIDおよびGID(アカウントやグループ管理に使うID番号)が1000から始まるようになった。この設定は/etc/login.defsファイルで定義されており、従来通り500から始まるように設定することも可能。また、旧バージョンのFedoraからアップグレードした場合も従来の設定が使われる。

 デスクトップユーザー向けの変更点としては、新ツールの追加や多言語入力機構IBusの強化などが挙げられる。デフォルトのデスクトップ環境はGNOME 3.2.1だが、KDE 4.7.2なども用意されている。開発者向けの変更点はPerl 5.14やjruby 1.6.2、システムプログラミング言語「D2」などが挙げられている。

 クラウド関連では、Webブラウザ上からGUIでさまざまなクラウドインスタンスの作成・管理を行えるツール「Aeolus Conductor」や仮想マシン管理ツール「Condor Cloud」、クラウド用分散ファイルシステム「HekaFS」、システムの管理・監視API「Matahari」、高可用性機能の「Pacemaker-cloud」といったツールや機能が搭載された。さまざまなクラウド関連サービスを提供する「OpenStack」もサポートしている。

 仮想化関連機能も強化されており、仮想ネットワーク機能の改良が行われているほか、仮想マシンのディスクに対しリードオンリーでのアクセスを可能にする機能「Virt-manager guest inspection」、1つの仮想ストレージを複数の仮想マシンから同時に利用できるようにするロック機構などが追加された。

 Fedora 16はx86およびx86_64版が用意されており、GNOMEベースのデスクトップ版のほか、KDEベースの「KDE Spin」や軽量デスクトップ環境であるLXDEおよびXfceを搭載する「LXDE Spin」および「Xfce Spin」、より多くのソフトウェアを含むDVD版、そのほか「Spin」と呼ばれるカスタマイズ版などのISOイメージが用意されている。これらはFedora Projectのサイトや各種ミラーサーバーなどから入手できる。

The Fedora Project
http://fedoraproject.org/

ダウンロード
http://fedoraproject.org/get-fedora