オープンソースへの移行を進めるフランス憲兵

 フランス国家憲兵隊ではポリシーとしてオープン標準の採用を規定し、オープンソースソフトウェアへのマイグレーションを段階的に進めている。これまで、「OpenOffice.org」への移行などにより、合計5000万ユーロのコスト節約を実現したという。同組織では、2015年までに全デスクトップPCを「Ubuntu」に移行させる計画だ。

 フランス憲兵の通信情報部門に所属する中佐、Xavier Guimard氏が3月、オランダ・ユトレヒトで開催されたオランダの公共機関向けオープンソース/オープン標準団体NOiVのカンファレンスで、組織内におけるオープンソース移行の取り組みを公開した。

 フランス憲兵のオープンソースへのマイグレーションは、2002年に設定されたオープン標準の利用を規定するポリシーがきっかけとなる。その後、ライセンスコストの高さに目をつけ、2004年にオープンソースソフトウェアへの移行を決定、まずは「Microsoft Office」からOpenOffice.orgへの移行に着手した。

 オフィスアプリケーションでのオープンソースソフトへのマイグレーションのほか、「Mozilla Thunderbird」「Firefox」などのアプリケーションを導入、SAPの人事ソフトもWeb対応にすることでいつでも乗り換えができるようにした。

 これらの成功を受け、2007年には、デスクトップOSでもオープンソースへの移行を決定した。すでに、5000台のデスクトップPCをUbuntuに移行するパイロットプロジェクトを完了。現在、2015年までに9万台ある全デスクトップPCを段階的に移行する計画をすすめている。「Windows XP」から「Windows Vista」へのマイグレーションは、コスト増だけでなく、研修の必要もあったが、Ubuntuへのマイグレーションはとても容易でスムーズに進んでいるという。

 Guimard氏によると、これらの取り組みにより、これまで合計5000万ユーロのコストを削減できたという。中でもソフトウェアライセンスコストのメリットは大きく、2004年まで毎年1万2000~1万5000件のライセンスを購入していたのが、2005年には27件に削減、2007年7月以降現在までのMicrosoftライセンス購入件数は合計200件におさえられたという。Guimard氏は、「今年はIT予算を70%削減できる見通し」としている。

フランス国家憲兵隊
http://www.defense.gouv.fr/gendarmerie