Windows、Xbox、iPodをMythTVのフロントエンドとして利用する方法

 デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の普及が進みつつある。実際米国では、DVRの代表的な存在であるTiVoという言葉が、動詞としても使われるようになった。つまり、DVRがそれだけ身近になってきたということだ。コンピュータをDVRへと変身させるフリー/オープンソース・アプリケーションとして数年前に登場したMythTVは、Linuxユーザの間で人気を高めてきた。だが、ほんの少しの手間をかければ、Windows XPやWindows Vista、Xbox、さらにはApple iPod Classicも、MythTVのフロントエンドとして利用することが可能だ。

 登場したばかりの頃のMythTVは、オープンソースを信奉する怖いもの知らずの一部ユーザが試すのみにすぎなかった。MythTVが動くハードウェアを持つ者は少なく、ましてや動作にこぎ着けるまでに必要な知識や忍耐を備える者はわずかだった。しかし今では、MythTVシステムのセットアップは簡単だ。多くのビデオ・キャプチャ・カードで難なく利用できるし、各種のLinuxを基盤として、MythTVを核に据えたディストリビューションも多数登場している。

 MythTVパッケージの多くでは、バックエンドとフロントエンドの両方がデフォルトでインストールされる。さらに、フロントエンドのみを別マシンに単独でインストールすることも可能だ。大半のユーザは、フロントエンドが1つあれば十分だろうが、場合によっては、仕事部屋、子供部屋、主寝室など、家庭内のあちこちの部屋でフロントエンドを利用したいというユーザもいるだろう。そんな場合は、XboxやiPodなど、代わりとなるハードウェアの利用を考えてみるとよいだろう。

Windows

 Windowsマシンを保有している家庭は多いので、MythTVのフロントエンドにWindowsを利用するというのは、当然考えられる選択肢だ。1つのやり方としては、MythTVバックエンド・サーバのMythWebから.ASXファイルとしてストリーミングした動画をInternet Explorerで再生するという方法もある。だが、それよりお勧めなのは、Mikkel Bystrup Stensgaard氏作のMythTv Playerを利用する方法だ。現在の安定版はバージョン0.40だ。ネットワーク上にあるMythTVバックエンド・サーバを直ちに見つけて接続し、録画ファイルを再生できる。また、サイト内の会議室からダウンロードできるバージョン0.50bには、CMのスキップ機能や放送中番組の視聴機能など、前バージョンにはなかった機能がある。

 MythTv Playerは録画予約機能を完備していない。だが、作者のStensgaard氏は、その機能はMythTv Playerの主用途ではないと考えている。今後の開発予定について触れた会議室の投稿で、同氏は次のように述べている。「遠い将来には、検索機能や録画予約機能を追加する可能性も考えられる。私としてはこうした機能はさほど重要ではない。MythWebが非常によくできているからだ」。

 MythTv Playerは比較的安定しているが、放送中番組の視聴後にキャプチャ・カードをきちんと解放しないことがごくまれにある。これはイライラの元になることもあるが、バックエンドから簡単に修正可能だ。Stensgaard氏もこの問題を把握しており、次のバージョンで修正を予定しているとのことだ。

Xbox

 MythTVのフロントエンドとして利用できるマシンの2つ目は、初代Xboxだ。Xbox360が登場した今となっては、黒色の巨大な筐体を持つ初代Xboxは無用の長物となり、部屋の片隅でほこりをかぶっているという家庭も少なくないはずだ。初代Xboxには、最新のゲームを動かすだけの性能はない。しかし本質的には、優れたAV接続機能を搭載したコンピュータであることには変わりない。また、eBayのオークションサイトを覗いてみると、DVD再生用の便利なリモコン・キットを安価で入手できる。

 MythTVを利用できるようにXboxに手を加える方法は、インターネットのあちこちのサイトで詳しく紹介されている(たとえばこちらこちら)。ハードウェアの改造を伴わず、ソフトウェアによる修正のみで済むため、必要があれば簡単に元に戻すことが可能だ。

 修正が済んだXboxをMythTVのバックエンドと連携させる方法は、大きく分けて4つある。1つ目はXbox Media Center(XBMC)とSambaを使う方法だ。XBMCの設定さえ済めば、MythTVのバックエンドで録画したメディア・ファイルを再生できる。ただし、録画番組についての情報は参照できず、CMのスキップ機能もない。2つ目は、CVSからXBMCの最新ソースを入手しコンパイルして、システムに組み込まれたアルファ状態のMythTVクライアントを使う方法だ。このクライアントはきちんと動作するとの報告が一部ユーザから上がっているが、MythTv Playerと同様、録画予約の機能はない。

 3つ目は、XBMC MythTVアドオンのPythonスクリプトをXBMCで実行する方法だ。このアドオンは安定しており、俊敏な制御が可能だが、プロジェクトは実質的に停止状態にある。開発者の多くがXBMCチームに移ったためだ。私が試した限りでは、録画番組の再生ではXBMC MythTVは順調に動作し、CMスキップ機能も備えていた。しかし、放送中番組の視聴では問題が発生しがちだ。放送中番組の視聴機能を正常な状態にするには、CVSから最新バージョンをコンパイルすることが必要になるケースが多々ある。それには当然、それだけの手間と専門知識が必要になる。

 4つ目は、Xebian(Debian for Xbox)またはGentooをXboxにインストールして、MythTVの完全なフロントエンドをその上で動かすという方法だ。手動による導入でもよいし、事前に設定済みのXebian/Mythディストリビューションを利用してもよい。この方法の大きな強みは、すべての機能を備えたMythTVの完全なフロントエンドを利用できることだ。その点は申し分ない。一方、大きな弱点は、Xboxのパフォーマンスだ。プロセッサが低速なため、比較的重いこうしたシステムを動かすには力不足だ。

 プロセッサが低速という点に関してもう1つ言えるのは、高解像度(HD)のコンテンツでパフォーマンス上の問題が生じる可能性があるということだ。XBMCやXebianではあらゆる形式の動画を再生できるが、MythTVからXboxへのHDコンテンツのストリーミングで満足しているユーザはほとんどいないものと思われる。通常の解像度(SD)のコンテンツや、圧縮形式のワイド画像のファイル(Xvidなど)なら問題ない。

iPod

 動画に対応した第5世代以降のiPodは、携帯型動画再生機器としてたいへん優れている。また、iTunesのポッドキャスト受信機能も非常に優秀だ。こうしたことから、iPodとMythTVを組み合わせて使うという方法も当然考えられる。両者の仲立ちとなるのがmyth2ipodだ。MythTVで録画した番組をiPodに同期できる。完全な機能を備えたフロントエンドではないが、柔軟性に優れているので、MythTVの方がクローズドソースのソリューションより優れていると実感できるはずだ。

 パッケージは主にPerlスクリプトを基盤として作成されており、きちんとインストールして動作させるためには、多少の手間が必要になることがある。ただし、バックエンドがKnoppmythであれば、出来合いのインストール・スクリプトがあり、場合によっては重宝するだろう。

 myth2ipodの動作の仕組みは想像が付くかもしれない。バックエンドのジョブで録画番組をiPod向けのMP4ファイルに変換したうえで、iTunesで読み込み可能なRSSフィードにリンクするという方法だ。セットアップが済んだら、iTunesを使って通常のポッドキャストと同様にフィードを購読すればよい。現時点では、すべての録画に対する単一のフィードしかないため、レギュラー番組をタイトルごとに購読することはできない。以前のバージョンにはその機能があったのだが、作者によると、現バージョンのリリース前のテストで外したとのことだ。

まとめ

 こうしたフロントエンド・ソリューションが個性的なのは、意外なハードウェア・プラットフォームをサポートしている点だ。とはいえ、ごくありふれたプラットフォームばかりである。必要なときに必要な場所でコンテンツにアクセスするためのソリューションが十分に揃っている。

Joseph Baxter 情報セキュリティ、法令遵守、および監査を専門とし、15年のキャリアを誇る。issurvivor.comのBob Lewis氏の週刊ポッドキャスト「Keep the Joint Running Podcast」のホストを務める。CISSP、CISA、CISM、MCSE+S、MCDBAの各資格を保持。

Linux.com 原文