Microsoftを見捨てオープンソースに走ったベテラン開発者

 Microsoft AccessやExcelを使ったことがあるなら、Mike Gunderloy氏が手がけた製品を使っていたことになる。皮肉なことに、Gunderloy氏自身はもはやこれらの製品を使っていない。Microsoftに見切りをつけ、オープンソースへと走ったからだ。彼に後戻りするつもりはない。

 インディアナ州エバンズビルを拠点として四半世紀の間フリーランスの開発者をしてきたGunderloy氏は、Microsoftとの関わりを次のように振り返っている。「フルタイムの社員になったことはなかったが、契約社員のバッジを付けて(レッドモンドの)本社キャンパスに出入りしていた時期が何度かあった」

 彼が請負業務(Gunderloy氏の算定によれば総額50万ドルほど)で書いた相当な量のコードがMicrosoft Office 97および2000のAccessとExcelに使われている。そのほか、SQL Server、C#、ASP.NETなど、Microsoftのソフトウェアとしてはそれほど目立たない部分にも彼は携わっていたという。

 それは実入りのいい仕事だった。しかし、最後の数年はそうでもなく、Gunderloy氏は嫌気を感じ出した。「ごく初期の頃のOffice 2007を目にしたことがある。まだアルファ版のコードだった。不満に思ったコードについてフィードバックを返したところ、ほかの人々によるものも含めてそうしたフィードバックがすっかり無視されていることがわかった。Office 97や2000、2003のときは、そんなことはなかったのだが、Officeチームは部外者の意見の必要性を感じなくなったようだ」(Gunderloy氏)

 だが、こうした困惑は次に起こることの前触れに過ぎなかった。Gunderloy氏にとってMicrosoftとの関係の終焉は、同社が特許に関する暴挙に出たところから始まった。「Microsoftが自社のリボンインタフェースに関して非知的な所有権を主張し始め、さらに大々的に知的所有権を主張するようになったときには“もうだめだ”と思った。以前と違ってMicrosoftはあらゆるものを特許化するようになった」(Gunderloy氏)

 Microsoftは、Office 2007製品に導入したリボンインタフェースを何とかして特許化しようと試みていた。リボンは、Officeプログラムのさまざまな機能を扱う一連のコントロールである。Gunderloy氏は次のように語る。「レッドモンドの連中は、コントロールを作成しようとするすべてのコントロールベンダに対し、リボンの権利は我々にあるのだから君たちはMicrosoftからライセンスを受けなければならない、と言っていた。各ベンダは、リボンインタフェースの各部品の所有権がMicrosoftにあることを認めなければならなかった。馬鹿げている、と私は思った。コードに著作権はあるが、ユーザインタフェースにおけるコントロールの配置なんか知的所有権にあたるとはいえない」

 仮にそうなってしまった場合、開発者はベンダ側の特許に抵触しないコードを書くことは不可能になるだろう。「このMicrosoftによる途方もない乗っ取り行為は、私をうんざりさせた」(Gunderloy氏)

 さらに、Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェアが235件のMicrosoft特許を侵害している、とのMicrosoftによる2007年5月の悪名高い主張は、Gunderloy氏が意を決するのに十分なものだった。彼はMicrosoftと決別し、習得すべき新たな言語を探し求めた。Web開発の領域に身を置きたいと考えた彼は、PythonベースのDjangoやRuby on Railsといったオープンソースの言語に目を付けた。最終的にRuby on Rails(RoR)に決めたのは、そちらのプラットフォームのほうが開発で収入を得る機会が多く見つかったからだった。