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デスクトップLinuxが市場で成功するための戦略

 デスクトップLinuxを平均的なホームユーザに普及させるために必要な戦術とはなにか。うまくいきそうなアイデアがいくつかある。

 ジャーナリストのSteven J. Vaughan-Nicholsの意見を抜粋する。

Linuxビジネスは、大部分において、マーケティングを行っていない。マーケティングに費用を投じないのは愚の骨頂であると思うのだが、現実はこれこのとおり……Linux企業らしく、その多くはマーケティングなど必要ないと確信していた。Linux企業らしく、口コミで十分だと考えていた……だが、これは誤りだ。マーケティングがなければ、部外者の目にはどのLinuxも同じように見え、区別がつかない。初めからLinuxに強い関心があれば別だが、紛らわしい名前がごちゃごちゃとあるのを見ただけで、早々とLinuxを選択肢から外してしまうだろう。

 私の意見は、これとほぼ反対だ。主流のメディア・マーケティング、広告、ブランド展開は、その多くの部分が上っ面のレベルで知名度を上げるための手段である。主なターゲットは上っ面だけのイメージで商品を買う人々であり、それにふさわしい商品については効果がある。有名な「タイレノール」ブランドで販売される頭痛薬とジェネリックの頭痛薬、さまざまなシリアルのブランド、またはこれと同様の、同じ生産ラインで製造されたまったく同じ製品でありながら店頭には違うパッケージ、違う価格で並ぶ商品があるのは、なぜだろうか。つつましい意見を言わせてもらえば、その主な答えは無知とブランド知名度である。

 もちろん、すべてのマーケティングが自社製品と大差ない商品を相手に競っているわけではない。米国のビール業界を例に説明しよう。これは、Windows対Linuxの構図といくつかの点で類似する、巨大なマーケティングの現場である。禁酒法が廃止になった後、大手の醸造企業は、ビールの味を好まない消費者に売り込むため、近代ビールを規格化した。それと同時に、規格化されたビールの味がビール愛好家の不興を買うという副作用を醸造企業は受け入れた。ポスト禁酒法時代、今もそうだが、アルコール流通業にはカルテルのさまざまな要素が残されている。その狙いは、大手の醸造業者と競争することを難しくし、多額の費用を要するものにすることだ。おかげで、この数十年間、米国に新顔の大手醸造企業は生まれていない。米国に本物のビールを甦らせる活動は、零細なためマーケティングに費用をかけられない地ビール醸造所が担っている。こういった醸造所は、ビール好きの紹介記事、口コミ、訪問による試飲、地ビールを取り扱う少数派の酒店の探索を通じてビール愛好家に知られることに頼っている。スポーツ選手やセクシー美女が登場するビールのコマーシャルを地ビールのメーカーが流しても、多くのビール消費者は手に入りにくい良いビールを探しに行こうとは思わないだろう。そういったコマーシャルは、ブランド中心のマーケティングに動かされやすい、寄らば大樹の陰、"ビールなんてどれも同じさ"タイプのビール消費者のためにある。

 これは、コストをかけたマーケティングが本質的に誤りであるとか悪いという意味ではない。これが意味するのは、利益率の高い商品の購買層をブランドの知名度に惹かれやすい人々に広げることができるなら、マーケティング費は良い投資であり、それができない場合は良い投資ではない、ということである。あいにくLinux企業の場合、デスクトップLinuxは利益率のとても低い商品であり、どれを買っても大差ない商品を並べる棚には向いていない。Red Hatがとうの昔に学んでいたとおり、ショップの棚に並ぶビニールでラップされた箱が現在のOS市場を変えることはないのである。

 したがって、口コミとほぼ予算ゼロのマーケティングが主なよりどころであるなら、おそらく必要なものは人と人の結び付きを強める戦略だろう。幸いにして、この領域には明らかに改善の余地がある。Linux導入の最大の障壁は、Linuxプリインストールが欠けていることであり、互換性の問題に関する高い知識がときに必要とされることである。デスクトップLinuxでは、このような課題を部分的に解決するうえで、戦略的・拡張的なネットワークに基づく強いコミュニティの本質的な利点や、いつかアップグレードするつもりでホコリをかぶっている膨大な数のPCを扱う際に失敗が起こりやすいことが役に立つ。