Puppeee:Eee PCのためのPuppy

 超携帯型パソコンASUS Eee PC翻訳記事)にはXandros系のオペレーティング・システムが標準搭載されているが、ほかのLinuxディストリビューションを使ってみたい人のために eeeXubuntuEeeDoraZenEeeEeePCLinuxOS など、さまざまなディストリビューションが提供されている。Puppy Linuxを基にした小さなディストリビューション Puppeee もその一つで、Eee PCのようなマシンで使うのにふさわしいユニークな機能を備えている。

 Puppy Linuxは(Puppeeeも)快速動作と使いやすさを念頭にゼロから作られたディストリビューションで、事実、Eee PCのような普及機においてさえ、Puppy Linuxの動作は電光石火だ。しかし、効率的な設計がもたらしたものは快速動作だけではない。起動時に全システムをRAMにロードしその上で動作することも可能にした。これにより、システム全体が機敏になり、Eee PCのフラッシュメモリードライブ(SSD)を無駄にすり減らす必要もなくなった。これにはさらに大きな利点がある。Eee PCのSSDは基板に直付けされているので壊れても交換することができない。しかし、Puppeeeなら、そんな場合でも外部デバイスから起動すればマシンを動かすことができるのだ。

 Eee PCのストレージは容量が限られているため、Puppeeeの小ささ自体も大きな利点となる。PuppeeeはPuppy Linuxよりも若干大きいが(それぞれ139MB、98MB)、たとえばeeeXubuntu(570MBという巨体)などと比べればかなり小さい。

 しかし、アプリケーションの品揃えは感動的で、必要なものはほぼすべて揃っている。インターネット・スイートにはSeamonkey、ワープロにはAbiWord、イメージ・エディターにはmtPaintなどといった具合。Puppy Linux同様、主流のオープンソース・デスクトップ・アプリケーションに対応した軽量なアプリケーションが同梱されている。PuppeeeにはEee PCのためのアプリケーションやユーティリティーも若干用意されており、バッテリーをモニターするBatmon、音楽機器を管理するgtkpod、楽曲を再生するXMMS、イメージを表示するGQview、VoIPのアプリケーションSkypeのほか、DVDをリッピングするHandbrakeさえある。さらに、Puppeeeの外観を変更したり、ファイアウォールを設定したり、ネットワークを設定したり、FTPサーバーを有効にしたりするためのPuppy Control Panelも用意されている。

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Pupeee

 Eee PCに搭載されているハードウェアは、期待通り、十分にサポートされている。ワイヤレスと有線のネットワーク・インタフェースも、サウンドも、Webカメラも、マイクも、SDカード・スロットも、何をするまでもなく、ほぼすべてのハードウェアが機能する。使いやすいPuppy Network Wizardでネットワーク接続を設定すれば、ものの数分でSkypeを使ってテレビ電話ができるのだ。ショートカット・キーも(全部ではないが)サポートされている。Mute、Volume Up/Down、PrintScreenの各キーはAltキーと組み合わせて使う。ファンクション・キーで、画面の輝度を調整することもできる。ただし、Wireless On/Offキーは、現行バージョンではサポートされていないようだ。

 Eee PCへのインストールには数通りの方法がある。外部CD/DVDドライブがある場合は、Puppeee CDから起動し、Puppy Universal Installerという優れたウィザードを使ってシステムをマシンにインストールすることができる。また、起動可能なUSBスティックまたはSDカードを作ることもできる。これは柔軟性の高い方法で、内蔵のSSDを使わずにPuppeeeを起動することができるだけでなく、オリジナルのオペレーティング・システムXandrosには手を付けないためいつでもXandrosに戻ることが可能だ。さらによいのは、インストールしたPuppeeeアプリケーションのすべてとユーザー設定とファイルを特別な.2fsファイルに保存することができる点だ。ただし、Puppy Universal Installerを使って外部メディアにインストールした場合、このウィザードのMBRセクションにあるmbr.binオプションをオンにし、USBスティックまたはSDカードから起動できるようにしておく必要がある。

 いずれの方法を選ぶにせよ、まず最新リリースのISOイメージをダウンロードし、CD/DVDバーナー付きのマシンでPuppeee CDを作成する必要がある。起動可能なPuppeee USBスティックまたはSDカードは、このCDから作る。Eee PCでPuppeeeを起動するときは、電源を入れ、起動スプラッシュ画面が現れたときにEscキーを押してPuppeeeが入っているデバイスを指定する。

 PuppeeeはPuppy Linuxの持つ優れた機能を引き継ぎ、しかもEee PCに搭載されているハードウェアを堅実にサポートしている。SkypeやBatmonなどのアプリケーションやユーティリティーも用意されており、Eee PCにあらかじめ搭載されているXandros Linuxに代わるオペレーティング・システムとして、なかなかの魅力を持っている。しかし、何と言っても優れているのは、PuppeeeとXandrosの二者択一ではないという点だ。PuppeeeはUSBスティックまたはSDカード上で動作しSSDを壊さないため、どちらも使うことができる。

Dmitri Popov フリーライター。ロシア、英国、米国、ドイツ、デンマークのコンピューター雑誌で活躍している。

Linux.com 原文