クライアントサイド・ブログ・ツール Thingamablog

  Thingamablog はクライアント上で複数のブログを作成・更新・管理するためのブログ・アプリケーションだ。クロスプラットフォームで、ライセンスはGPL。FTP機能を備えており、作成した記事の公開や既存記事の更新も可能。初心者にも十分に使える容易さと、熟練ブロガーの使用にも耐えうる機能性を兼ね備えている。

 Thingamablogは簡単にダウンロードできるようパッケージ化されており、Windows用の自己解凍型インストーラー、Linux RPM、一般的なZIP、ソースコード形式のパッケージが用意されている。最新の安定版は1.0.6。大きさは4MB足らずなので短時間でダウンロードすることができる。ベータ版も公開されており、バージョンは1.1 v6。オペレーティング・システムに応じて、適切なパッケージをダウンロードし、展開してインストールする。Javaで書かれているため、ローカルにJava Runtime Environment 1.4.2がインストールされている必要がある。

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Thingamablogの画面

 インストールしたThingamablogを起動したとき、私は感動を覚えた。起動しただけで、十分に熟成された使いやすいアプリケーションだということがわかるのだ。しかも、ベータ版だというのに。たとえば、ブログの作成手順を見てみよう。メニューからFile→New Weblogの順に選択すると、対話形式のウィザードが開いて順序よく案内してくれる。最初に設定するのはファイルのアップロード先で、サーバー上のディレクトリーを相対パスで入力する。私が使っているWebホストの場合は「/public_html/directory_name」となる。このディレクトリーにはThingamablog専用のものを指定するが、あらかじめサーバー上に作っておく必要はなく、なければファイルをアップロードする際に自動的に作成される。

 次に、ブログのURLを入力する。これはホストから割り当てられているURLにThingamablogのディレクトリー名をつなげたものになる。専用のアーカイブと画像のためのサブディレクトリーが自動的に作成される。些末な欠点を1つ。ブログのフロント・ページの名前はindex.htmlではなくblog.htmlで、その分ブログのURLが不必要に長くなるのだ。この問題は、メニューからConfigure Weblog→Front Pageの順にクリックし、「blog.html」を「index.html」に変更してブログをアップデートし直せば解消する。

 次に、ブログの表題と説明、カテゴリー、サイトの執筆者を入力する(このベータ版には、電子メール経由で記事を公開するオプションもある)。そして、あらかじめ用意されているテーマの中からいずれかを選択し、ブログのファイルをリモート・ホストにアップロードする際に使うアプリケーションを設定する。

 Thingamablogには、ほとんどのブロガーがほしいと思うであろう機能は基本的なものしかない。RSSフィードの生成機能、複数のブログを作成・管理する機能、選択したブログ・アグリゲーターに自動的に通知する機能などはあるが、自動的な検索エンジン最適化のための特殊機能は何もなく、WordPressのようなプラグイン機能もない。だが、HTMLをよく知っていれば、キーワードやコンテンツのタグを自分で追加するのは容易だ。

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Thingamablogの画面(2)

 良くできたThingamablogではあるが、失格の烙印を押されかねない欠点が1つある。サイトを訪れた人にコメントを残す機能を提供することができないのだ。クライアントサイド・アプリケーションであるThingamablogには、どう頑張ってもサーバー上にあるファイルにコメントを書き込むことはできない。HaloScanなどの無償コメント・サービスを利用するのが唯一の解決策だ。どうしてもと言うなら、サーバー上でコメントできるように作り直さなければならない。Thingamablogを開発したBob Tantlinger氏がそうしなかったのは、クライアントサイドという基本的性格を変えたくなかったからだろう。すべてのブロガーが議論をしたい、あるいは議論を必要としているわけでもあるまい。コメント機能がなければスパマーが付け入る隙はなく、そのようなブロガーにとってはかえって利点となるだろう。

 最新ベータ版のリリースは昨年12月、プロジェクトのディスカッション・フォーラムはきわめて活発だ。Tantlingerはいずれバージョン2.0を出すと言うが、今でも十分魅力的なブログ・プラットフォームである。

Tina Gasperson ビジネスやテクノロジーに関する記事を執筆、業界で著名なほとんどの雑誌に掲載されている。1998年からフリーランス。

Linux.com 原文