WindowsとLinuxでアーカイブファイルを使用できるPeaZip

 WindowsとLinuxの両方で動作し、グラフィカルインタフェースを備え、オープンソースソフトウェアとしてライセンスされるアーカイブプログラムを探しているなら、すべての条件を満たすものはただ1つ、 PeaZip しかない。PeaZipは、アーカイブ作成、圧縮、暗号化、およびそれに関連する機能を提供する複数のツールのグラフィカルなフロントエンドとして機能するプログラムである。

 LinuxバージョンのPeaZipは、デスクトップ中立である。中立とは、KDE、GNOME、Xfce、あるいはその他のデスクトップやウィンドウマネージャのどれでも利用できるという意味だ。デスクトップとの統合がすべてのケースで機能するわけではないが、PeaZipはfreedesktop.org標準に基づくため、基本機能を使う範囲では問題ない。特別なインストール手順は必要なく、任意のパス(USBメモリステッィクでも構わない)にインストールして使い始めればよい。

 PeaZipダウンロードサイトには、WindowsバージョンとLinuxバージョンがある。Linuxの場合、インストールの手順が少し多いポータブル/スタンドアロンのバージョンと、簡単にインストールできるパッケージ済みのバージョン(debおよびRPM)を選択できる。私はopenSUSEユーザなので、RPMオプションを選択した。ダウンロード後(ファイルサイズは約5.5MBほど)、rootとして「rpm -Uvh peazip_theVersionYouDownloaded.rpm」を実行すると、PeaZipがインストールされ、デスクトップと統合された。

 インストールを自分の手で行いたい場合は、ポータブル/スタンドアロンのバージョンを入手しよう。ダウンロードが完了した後で、ダウンロード先に移動し、次のコマンドをrootで実行する。

tar zxf peazip_theVersionYouDownloaded.tar.gz
mv peazip_theVersionYouDownloaded /usr/bin/peazip
cd /usr/bin/peazip/Freedesktop_integration
cat readme_Linux2.txt

 画面に表示される指示に従って、デスクトップアイコン、メニュー項目などを作成する。この”DIY”方式のインストールを選択すると、場合によってはPeaZipを初めて起動した時点で、PeaZipを正しく実行するために別のライブラリを追加でインストールする必要がある。

PeaZipの操作方法

 PeaZipを起動し、[Tools]→[Settings]を選択してプログラムを設定する。[Create Archive]タブで、デフォルトのファイル形式(ZIPを推奨)と使用可能にするファイル形式を選択する。アーカイブファイルをよく知らない読者のために補足するが、PAQやQUADなどのマイナーなファイル形式はオフにするとよいだろう。他のタブにも各種のオプションがあるが、デフォルトのままで用は足りる。ドキュメント(英文)も参照できる。

 メイン画面には、アーカイブファイル作成用のアイコンとアーカイブからファイルを展開するためのアイコンが表示される。アイコンの上にマウスポインタを置くと、扱えるすべてのファイル形式のリストが表示される。[File]メニューには、2つのアイコンと同じ機能を持つ項目と、ファイル分割、ファイル結合、ファイル検証、ファイル比較、ファイル破棄(復元の不可能な削除)の各項目がある。右上の電球アイコンをクリックすると、詳細な情報を表示できる。また、ファイルをドラッグしてウィンドウにドロップすると、アーカイブの作成や既存アーカイブの更新を行える。

その他のアーカイブツール
 ある程度の機能は妥協できるなら、以下のプログラムも選択肢に入る。
  • 7-Zip: Windowsバージョンにはグラフィカルインタフェースがあるが、Linuxバージョンp7zipはコマンドラインアプリケーションである。
  • Disk ARchive (DAR): 7-Zipとは逆に、KDEグラフィカルインタフェースはあるが、Windowsバージョンはコマンドラインでしか使用できない。
  • Info-ZIP: Linux用の汎用zip/uzipツールだが、WiZグラフィカルインタフェースはWindowsにしか対応していない。
  • PKZIP: Windowsデスクトップに統合されていて、単独のグラフィカルインタフェースは持たない。
  • WinAceおよびWinRAR: Windowsバージョンには完全なグラフィカルインタフェースがあるが、Linuxではアーカイブの展開にコマンドラインバージョンしか使えない。

 ファイルをアーカイブから展開するには、展開用のアイコンをクリックし、ファイルを選択する。ブラウザ形式のインタフェースに、アーカイブ内のファイルとディレクトリが表示される。完全なリストを表示するには、プラス(+)アイコンをクリックしてすべてのファイルのリストを展開する。展開するには、ファイルまたはディレクトリを右クリックしてポップアップメニューからコマンドを選択するか、ウィンドウの上にあるボタンを操作する。

 アーカイブを作成する手順は、展開よりやや複雑だ。[Create]アイコンをクリックすると空のディレクトリが表示されるので、ここにファイルやフォルダをドラッグアンドドロップする。作成するアーカイブの形式を変更するには、左上のアイコンを右クリックする。[Options]タブで、以下の操作が可能である。

  • Compression parameters(圧縮パラメータ): ここで使用できるオプションは、選択したアーカイブ形式によって異なる。
  • General options(一般オプション): アーカイブを作成するか更新するかの選択、スレッド使用方法の指定、結果を電子メールで通知するかどうかの選択などをここで行える。
  • Encryption options(暗号化オプション): パスワードで保護されたファイルを作成するために使用する。

 ファイルを追加し、オプションを選択した後で、[Create]をクリックするとアーカイブが作成される。

まとめ

 WindowsとLinuxの両方で利用できるグラフィカルなアーカイブ/圧縮マネージャを探しているなら、PeaZipがそれである。

サポート対象のファイル形式
 PeaZipは、以下のファイル形式を処理できる(一部に制限あり)。
  • 7z : 人気の7-Zipプログラムで使用される形式。
  • ACE : 圧縮率はZIP形式を超えるが、ライセンスに問題がある。使用するには、UnAce(ACE形式用のフリーの展開ユーティリティ)を入手してインストールする必要がある。ACEファイルを開くだけで、作成はできない。
  • ARC : 80年代に最も利用されたアーカイブ形式だが、法廷闘争と大論争の末ZIPに地位を譲った。
  • ARJ : かつてのZIPの好敵手(人気では勝ってさえいた)。マルチボリュームのアーカイブを処理する機能があり、大きなプログラムをダイヤルアップ回線やフロッピーで配布する用途に適していた。
  • bzip2 : 圧縮専用。ZIPよりも圧縮率は高いが、処理速度は大幅に劣る。
  • Cabinet (CAB) ファイル : Windows本体で使用されるネイティブの圧縮形式。
  • GNU zip (gzip) : 元々は、特許やライセンスの問題があるLempel-Ziv-Welch(LZW)などのアルゴリズムに替わるものとして開発された形式。
  • LHAおよびLZH : 日本で人気がある(かつてはDoomやQuakeのゲームファイルとして使われた)が、それ以外の国ではあまり利用されていない。
  • PAQ および LPAQ : 非常に高い圧縮率を誇るが、処理速度が遅く、メモリを大量に消費する。
  • Pack, Encrypt, Authenticate (PEA) : PeaZipの作者によって開発された形式。
  • QUAD : 高い圧縮率と高速の展開を提供する、もう1つの無名のアーカイブ形式。
  • RAR : MS-DOS時代に生まれたアーカイブ形式。現在はWindows版のみのプログラムWinRARで使用される。PeaZipでは、RAR形式ファイルの展開のみがサポートされ、作成はできない。
  • Tar : 名前の由来である”Tape ARchive”からもわかるとおり、古いアーカイブ形式。圧縮機能のないアーカイブ専用の形式であり、通常は別の圧縮アルゴリズムで補完される。
  • UPX : 名前は”Ultimate Packer for eXecutables”を意味し、バイナリプログラムファイルの圧縮に特化したアーカイブ形式。
  • ZIP : Java JARファイル、OpenOffice.org ODFファイル、Mozilla Firefox アドオン(.xpi拡張子のZIPファイル)など、ほとんどあらゆる場所で利用されるアーカイブ形式。
 PeaZipが扱えない形式は、ALZip(韓国で開発され主に国内で利用)とSITおよびSITX(StuffItプログラムのプロプライエタリなファイル形式)だけである。

 サポート対象のファイル形式については、必要なライブラリがPeaZipによって組み込まれる。これらはオープンソースソフトウェアである。ただし、UnAceのライセンスは、パッケージの残りの部分と共にUnAceを組み込むことを禁じている。ARCとRARにはライセンス上の制限があり、ファイルの展開のみで作成は許可されない。

Federico Kerekiはウルグアイのシステムエンジニア。20年に渡るシステム開発、コンサルティング、大学講師の経験がある。

Linux.com 原文