ディスク・イメージを作成するツール、ISO Master

 K3bやGnomeBakerなどのDVD作成ソフトウェアは、.ISOイメージを扱うのに、mkisofsなどの標準コマンドを使っている。しかし、作成したイメージに関する機能は限定的だ。できるのはイメージのコンテンツを選択することぐらいで、.ISO形式のファイルとして保存することさえできない。その一方で、独自形式で保存することはできる。しかし、幸いにして、こうした機能上のギャップを埋めるソフトウェアがある。 ISO Master だ。インタフェースは少々無骨だが、直感的にできており、オンライン・ヘルプを見なくてもすぐに概要を理解することができる。ただし、ブート・レコードの追加だけは、平均的利用者には難しいかもしれない。

 ISO Masterのプロジェクト・ページには、最新のDebian、Fedora、SUSE、Mandriva、OpenBSD、FreeBSD用のパッケージが用意されている。マイナーなディストリビューション向けも種々あるが、リストにない場合や、Arch LinuxやGentooなど、古いバージョンしかない場合は、Subversionリポジトリーや旧バージョンのtarを集めたアーカイブを利用する。アドレスはプロジェクトのページの終わりの方にある。

編注:1月17日現在、ISO Masterのサイト・リニューアルに伴い、ダウンロード・ページからはWindows用のバイナリ(デモ版)とLinux用のソースコード(どちらもバージョン1.3)のみが入手可能となっている。

isomaster_thumb.png
ISO Master

 インタフェースは、概して言えば、K3bやGnomeBakerに似ている。上下2つのペインがあり、上にはハード・ドライブのファイルが、下には新規または開いているイメージのファイルが一覧表示される。ファイル・サイズの推計値もわかりやすい。ただし、大きな違いが1つあり、ISO Masterでは、マウスを使ってファイルをドラッグ&ドロップすることができない。ペイン上のファイルを選択してからタスクバーのアイコンをクリックする必要がある。上のペインのタスクバーは上のペインのナビゲーション専用だ。しかし、下のペインのタスクバーは、少々紛らわしい。下のペインのナビゲーション用アイコン2つのほかに、その右側に操作のためのアイコンが並んでいる。上のペインに適用されるAddと下のペインに適用されるExtractとRemoveだ。しかし、通常のナビゲーションは十分にわかりやすく、ほとんどの人は迷ったとしてもせいぜい一瞬のことだろう。

 メニューの構成も少々わかりにくい。隠しファイルの表示やディレクトリー表示のオプションがViewメニューの下にあるかと思うと、重複ファイルの削除やシンボリック・リンクの追跡はSettingsの下にあるといった具合。しかし、オプションの数が少ないため、あらかじめ一通り目を通しておけば、オプションを見つけ出すのはさして難しくないだろう。

 ISO Masterで最も簡単な操作は既存イメージの編集だ。手順はメニューからImage→Openの順にクリックする。下のペインにコンテンツが表示されるので、下のタスクバーにあるアイコンを使って、ファイルを追加したり(スペースも可)、新しいディレクトリーを作ったり、ファイルを削除したりする。アーカイブのファイルを扱うときとほとんど同じだ。

 イメージのメタデータを編集することもできる。手順はメニューからImage→Propertiesの順にクリックする。ただし、既存イメージの編集はできない。ISO Masterはオリジナルのファイルを上書きしないからだ。しかし、Volume NameとPublisherは編集可能。また、RockridgeイメージとJoliet ISOイメージ(つまり、Unix系オペレーティングシステムとWindowsオペレーティングシステム)への対応も変更可能だ。もっとも、通常は、両対応のままにしておきたいだろうが。K3b同様、ISO MasterでもRockridgeとJolietの詳細な特性を指定することはできない。しかし、そのニーズはほとんどなく、知られてさえいないから、困ることはあまりないだろう。

 イメージに含まれているブート・レコードを読む機能も便利だ。手順はメニューからBootRecord→Propertiesの順にクリックする。ブート・レコードの詳細は、既存イメージを扱っている限り知らなくても済むが、新たにISOイメージを作る際に必要になることがある。イメージを作成するといっても既存イメージの編集と大差はない。しかし、起動可能なイメージを作るとなるとちょっと難しい。

 起動可能イメージの作成に自信のある人には、El Toritoブート仕様の書き方を解説した標準文書を熟読することをお勧めする。文書はISO MasterのWebサイトにある(編注:この文書も現在のプロジェクト・ページからは削除されている)。ISO Masterのリード・デベロッパーで保守を行っているAndrew Smithは自身をアマチュアだと謙遜するが、明らかに、この標準について誰よりもよく知っている。

 起動可能イメージの作成に自信のない人には、既存イメージのブート・レコードを探してハード・ドライブに抜き出し、それを制作中のISOイメージに追加する方法をお勧めする。メニューからBootRecord→Addの順にクリックすると5つのオプションが表示される。抜き出したブート・レコードがその中のどれに適合するかを調べる必要があり、CDまたはDVDを数枚無駄にすることになるだろうが、幸運と忍耐力さえあれば、この調査によって起動可能ISOイメージを自由に作れるようになる。

 もちろん、誰もが自分でISOイメージを作る必要があるわけではない。だからこそ、ほとんどのDVD作成ソフトウェアにはそうした機能の多くが搭載されておらず、搭載されていても上級者なら見つけられるだろう場所に隠してある。しかし、ISOイメージを扱わなければならなくなったとき、ISO Masterであれば必要な機能がすべて揃っているはずだ。

Bruce Byfield コンピューター・ジャーナリスト。Linux.com、IT Manager’s Journalの常連。

Linux.com 原文