openSUSEのライブ版が登場

 openSUSEはNovellとコミュニティが共同開発するディストリビューションで、フリーソフトウェアのみで構成されている。人気はトップクラス。11月上旬、その最新リリース10.3のインストールも可能なライブ版がリリースされた。デスクトップ環境に応じてKDE用とGNOME用があり、ソフトウェアについてはインストール専用版と変わらない。このライブ版には若干の問題点もあるが、すぐにほかの版を駆逐するだろう。

 openSUSEの現行リリースには、インストール専用DVD、インストール可能ライブCD 2種、インストール専用CD 2種が用意されている。ライブCDは、現在、32ビット・ハードウェアのみの対応だが、インストール専用版の方は64ビット・コンピューターとPowerPCコンピューターにも対応している。openSUSE 10.3にはオプションのCDもあり、Opera Webブラウザー、RealPlayerメディア・プレーヤー、Acrobat PDF Readerなど、オープンソース以外のソフトウェアが収録されている。openSUSE 10.3を複数のコンピューターにインストールする場合、このCDならネットワークを使わないので便利だ。どの版を使うべきか迷う場合はopenSUSEのダウンロードページにある推奨機能を利用しよう。簡単な質問に答えるだけで最適な版を教えてくれる。

 インストール画面はライブ版でもインストール専用版でもほぼ同じ。利用者にとって有り難いことに、openSUSEにはリリースを通じた一貫性があるのだ。openSUSE 10.3のインストール・プログラムYaSTは使いやすく、インストールの各段階に十分な説明があるので初心者でも安心して使える。一方、熟練者にとっても、必要に応じてインストールオプションを変更できるだけの十分な柔軟性を備えている。パッケージを選択し起動パラメーターを設定するだけでなく、論理ボリュームやNFSパーティションを追加したり、RAID 0,1,5を設定したり、あるいは、全ファイル・システムを暗号化することも可能だ。

 しかし、ライブCDとインストール専用CDのインストーラーには、オンライン・ソフトウェア・リポジトリーに関して違いが1つだけある。インストール専用版のYaSTではオンライン・リポジトリーからソフトウェアを追加できる。しかし、ライブ版のインストーラーでは追加できないのだ。もちろん、openSUSEの起動後であれば可能だが。

 このインストーラーを手持ちのマシン数台で試してみたが、どういうわけか、どのマシンでもWindowsパーティション(FATもNTFSも)をLinuxパーティションとして認識してしまう。さらに、すべてのパーティションについてGRUBエントリーを追加する。オペレーティング・システムがインストールされていようといまいとお構いなしだ。そして、WindowsがインストールされたパーティションをLinuxの起動項目として表示してしまう。

 openSUSEが実際にパーティションを変更することはないが、初心者が混乱しパーティションを誤って初期化しかねない。Linuxのパーティション番号に慣れていなければ尚更だ。しかし、ディストリビューションのインストールで最も重要な作業は、おそらく、パーティショニングであり、この段階での誤りは許されない。

 ライブ版の外観とソフトウェアは、インストール専用版と同じだ。いずれにも、GNOME 2.2.0とKDE 3.5.7のほか、GIMP 4.2.1、OpenOffice.org 2.3.0、Firefox 2.0.0.6、Pidgin 2.1.1が含まれている。もちろん、これら以外のソフトウェアについても、ほかのディストリビューション同様、オンライン・リポジトリーから簡単に追加することができる。openSUSE 10.3は真のコミュニティ・ディストリビューションであり、サードパーティーとコミュニティがサポートし管理するリポジトリーからVLC、GnuCash、Nvidiaドライバー、Google Linuxアプリケーションなど、さまざまなプログラムをインストールすることができる。

 openSUSEのデスクトップは簡潔でさっぱりとしており、よく使うアプリケーションに素早くアクセスできるように設計されたKickoffという名のNovell版KDEメニューあるいはGNOMEメニューが搭載されている。Novell版GNOMEメニューは通常のGNOMEメニューとは大きく異なるため、従来のGNOMEメニューを使い慣れた人にとっては、慣れるまでに多少時間を要するだろう。Novell版KDEメニューでは、サブメニューがある点は同じだが、サブメニューは横に展開されるのではなく、親メニューに差し代わるように表示される。

 次に、ハードウェアについて。手持ちのコンピュータ数台で試行したところ、openSUSE 10.3はどの版も問題なく動いた。もちろん、ライブCDも同様。用いたマシンはクロックスピードが1.3GHzと1.7GHzのCeleron搭載ノートパソコンが2台と、2.0GHz Core 2 Duo E4400と1.8GHz Core 2 Duo E6300搭載のデュアルコア・デスクトップが2台。特にIntelのマザーボードDG965RYとモニターとしてワイド画面の19インチLCDを装備するE6300コンピュータでは、すべてのコンポーネントが正しく認識・構成された。これはLinuxディストリビューションでは初めてのことだ。しかも、USBデバイスのすべて(マウス、ポータブル・ハードディスク、カメラ)とPCMCIAワイヤレス・カードも検出された。

 そのままではLinuxで動作しないPCMCIAワイヤレス・カードについてはWindowsドライバーをインストールすることになるが、openSUSEには、そのためのGUIユーティリティーは用意されていない。Ndiswrapperは同梱されているが、コマンドラインからドライバーをインストールする必要がある。しかも、ディストリビューションをインストールした後にだ。つまり、Ndiswrapperを介さなければ動作しないワイヤレス・カードを持つマシンにopenSUSEをインストールする場合、インストールの際にオンライン・リポジトリーから必要なソフトウェアをインストールすることができないのだ。

 openSUSE 10.3ライブCDは素晴らしい出来だ。インストールの際にオンライン・リポジトリーからソフトウェアをインストールできるようにし、パーティショニングとブート・ローダーのバグを解決できれば、このインストール可能ライブCDは、インストール専用CDを駆逐するだろう。

Linux.com 原文