SEC、ストック・オプション不正付与訴訟でジョブズ氏に召喚状?――バックデート行為への関与を巡り宣誓証言を要求

 米国証券取引委員会(SEC)は、Appleのストック・オプション・バックデートを巡って同社の元法務顧問ナンシー・ハイネン氏を提訴している問題で、AppleのCEOスティーブ・ジョブズ氏に召喚状を送り、宣誓証言を求めたという。ブルームバーグ米国版が9月20日付けで報じた。

 バックデートとは、ストック・オプションの付与日を、株価が安かった以前の日付けにさかのぼって設定する不正行為を指す。情報筋はブルームバーグに、ジョブズ氏は取り調べの対象となっているわけではないが、SECがハイネン氏に対して起こした訴訟でジョブズ氏の証言が必要とされている、と語ったという。

 Appleの法務顧問だったハイネン氏は、2006年5月に同社を退社したが、それは、SECが同社のオプション・バックデート問題の調査を行っていることを明らかにする直前のことだった。

 SECは今年4月、ハイネン氏がジョブズ氏などAppleの経営幹部に対するストック・オプションの付与でバックデート行為を行い、同社の記録を改竄してそれを隠蔽したとして、ハイネン氏を提訴した。

 ジョブズ氏は2001年に750万株のオプションを付与されている。SECは4月に、Appleの元最高財務責任者(CFO)フレッド・アンダーソン氏も提訴したが、これは、同氏がSECへの350万ドルの支払いに同意したことで決着した。

 以前、Appleの内部調査担当者は、ジョブズ氏はバックデートの事実を知っていたが、個人として利益を得ていないと述べた。しかし、4月の審理の際にアンダーソン氏の弁護士が公表した声明によると、アンダーソン氏は、ジョブズ氏から、オプションのバックデートを行うよう指示されたと主張したという。

 SECとハイネン氏側が先月、サンフランシスコの連邦裁判所に共同提出した文書から、宣誓証言者の人数について両社の要求が食い違っていることが明らかになった。ハイネン氏の弁護士は、45人の証言が必要だとしているが、SECの弁護士は、人数を12人に制限することを求めている。

 また、SECはこの文書で、「Appleの取締役会の一部メンバーを含む上級役員に対するオプション付与プロセスで、ハイネン氏とかかわりがあった人物」に宣誓証言を求める方針を示していた。

 SECとハイネン氏側は今後の裁判日程についても合意しておらず、SECは2008年9月の裁判開始を求めているが、ハイネン氏の弁護士は、2009年3月2日の開始を主張している。

 Appleは2006年6月下旬にバックデート問題について初めて発表を行った。内部調査の結果、1997年から2001年の間に行われたオプション付与の方法に不正があったことがわかったというものだった。

 また、同社は2006年12月、ジョブズ氏など経営チームのメンバーに不正行為はなかったと報告するとともに、以前の決算を修正し、8,400万ドルの費用を計上した。

 なお、この件に関するAppleのコメントは記事執筆時点で得られていない。

(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)

米国Apple

http://www.apple.com/

提供:Computerworld.jp