SugarCRM、次期オープンソースCRMをGPLv3ライセンスで提供――「ユーザーの要望にこたえた」と同社

 米国SugarCRMは7月25日、同社のオープンソースCRM(顧客関係管理)ソフトウェアの次期バージョン「Sugar Community Edition 5.0」を、「GPLv3(General Public License version 3)」ライセンスで提供することを明らかにした。

 同社のユーザー・コミュニティはかねてから、プロプライエタリな「Sugar Public License(SPL)」からオープンソース・ライセンスに移行してほしいと強く要求していた。今回の決定は、こうしたユーザー・コミュニティの“声” にこたえたものだ。なおSugar Community Edition 5.0は、今年9月にリリースが予定されている。

 SugarCRMの共同創立者で同社のCEOを務めるジョン・ロバーツ氏は、「GPLv3はすばらしいライセンスだ。だれでも使用/改変/再配布が可能なうえ、自由で制約が少ない」とコメントした。同氏によると、今後2週間以内にリリースが予定されているSugar Community Edition 5.0のベータ版も、GPLv3でのライセンス提供になるという。

 実は最近、SugarCRMのオープンソース・フォーラムに、「SugarCRMのライセンスの問題点と危険性」と題したスレッドが立てられていた。

 オープンソース・コミュニティ内には、OSI(Open Source Initiative)の承認を受けていないライセンスを使用しているベンダーに、オープンソース・ベンダーを名乗る資格があるのかという議論がある。オープンソース・コミュニティのメンバーの中には、プロプライエタリでOSIに認定されていないSPLを採用しているSugarCRMに、厳しい目を向ける人もいるようだ。

 OSIはオープンソースの定義を決める非営利団体で、標準化作業を手がけている。同団体は、GPLや「Apache Software License」「Common Development and Distribution License(CDDL)」「Eclipse Public License」「IBM Public License」「Intel Open Source License」「Mozilla Public License(MPL)」など、50以上のオープンソース・ライセンスに「OSI Approved License」という認定ロゴを発行してきた。

 ロバーツ氏は3年半前にSugarCRMを設立したとき、オープンソースCRMプロジェクトの理念を最も具現化しているのは、MPLだと考えていたと話す。SPLはMPLの派生ライセンスである。しかし、1年半前からフリー・ソフトウェア・ファウンデーション(FSF)と共同でGPLv3の開発プロジェクトに参加するなかで、「考えが変わった」(ロバーツ氏)という。

 「初めはMPLのほうが良いライセンスだと思っていたが、長期的にはGPLが良いことがわかった」(ロバーツ氏)

 ロバーツ氏は今後、FOSS(フリーのオープンソース・ソフトウェア)が勢力を増し、主流になるだろうと指摘する。

 「オープンソースに脅威を感じているプロプライエタリな大手ソフトウェア・ベンダーは、必死になって防衛策を講じるだろう。彼らは防衛策の1つとして特許権を行使するだろうが、FSFやFOSSの開発者には、それに対抗する技術力も組織力もある」(ロバーツ氏)

 ちなみにSugarCRMは現在、120名のスタッフと1,300社を超える顧客を抱えている。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Serviceボストン支局)

米国SugarCRM
http://www.sugarcrm.com/

提供:Computerworld.jp