中国当局、FBIの協力を得て海賊版ソフトの大規模販売組織を摘発――Windowsの正規ライセンス確認機能「WGA」が摘発に寄与

 中国当局は7月24日、米連邦捜査局(FBI)との合同捜査により、過去6年以上に渡って海賊版ソフトウェアの製造/販売を続けていたと見られる大規模組織を摘発した。中国ではこの2週間、海賊版ソフトウェアを巡る強制捜査や逮捕が相次いでいた。

 FBIによると、この組織は中国南東部の広東省を拠点に、MicrosoftやSymantecの海賊版ソフトウェアを製造していたという。

 今回の摘発により、中国では、5億ドル相当の約29万枚のCDとそのほか700万ドル相当の物品が押収され、米国でも、FBIのロサンゼルス支局が200万ドル相当の海賊版ソフトウェアとそのほか70万ドル相当の物品が押収された。

 強制捜査のうち、マー・ケ・ペイ容疑者がかかわる事犯では、Symantec製品の海賊版の製造でマー容疑者のほか10名が逮捕された。マー容疑者は2003年、Microsoft製品に関する著作権および登録商標の侵害で起訴されているが、中国に逃亡していた。

 そのほかの強制捜査は深センを中心に行われた。深センでは、海賊版ソフトの約70%が米国に出荷されている。今回の摘発で、6つの製造ラインと小売施設が解体され、Microsoftの海賊版CD、4万7,000枚が押収された。

 Microsoftで海賊版対策を担当する副法務顧問のデビッド・フィン氏によると、製品ラインの数や稼働年数、流通の規模から見て、今回の摘発は過去最大の規模になりそうだ。「これほどの規模は見たことがない。今回の摘発で、市場に出回る海賊版ソフトウェアの数はかなり減ることになるだろう」(フィン氏)

 欧米諸国や企業は中国などの新興国に対し、海賊版の取り締まりを強化しているが、その一方で、コピー技術も精巧化している。そのため、正規品と見分けるのは専門家でも難しく、小売店やユーザーが海賊版をつかまされたとしても気づきようがないという。

 フィン氏によると、今回摘発された組織は世界27カ国で13種類のMicrosoft製品の海賊版を製造していた。

 科学捜査グループは、2001年5月製造の海賊版CDにまでさかのぼり、この組織の手による製品を確認している。

 Microsoftによると、同社がこの6年間に海賊版で被った損害額は控えめに見積もっても20億ドル規模になるという。

 またMicrosoftによると、今回の摘発には、正規のWindowsライセンスを確認するための同社のプログラム「Windows Genuine Advantage Notifications」が貢献したという。同社には、このプログラムを介して、1,000人以上の顧客からWindows XPの海賊版ソフトウェアの現物が提出され、その後、同組織との関係が確認されたという経緯がある。

(ジェレミー・カーク/IDG News Service ロンドン支局)

提供:Computerworld.jp