AMD、クアッドコア・プロセッサ「Barcelona」を8月に出荷開始――消費電力95ワットの標準モデルと65ワットの低電力モデルを提供

 AMDは6月29日、クアッドコア・プロセッサ「Opteron」(開発コード名:Barcelona)の出荷を今年8月に開始し、9月にハードウェア・ベンダーから同プロセッサを搭載したサーバが発売される見通しであることを明らかにした。

 AMDによると、クアッドコア版Opteronのパフォーマンスは、アプリケーションによっては既存のデュアルコア・プロセッサを40~70%上回り、消費電力は変わらないという。AMDがクアッドコア製品を市場に投入するのは、Intelがクアッドコア・ベースの「Xeon」サーバ用プロセッサ・シリーズをリリースしてから9カ月後ということになる。

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Barcelonaのアーキテクチャ

 Barcelonaは65ナノメートル(nm)製造プロセスを採用し、パフォーマンスの向上が図られている。ちなみに、既存のデュアルコア・プロセッサは90nmプロセスで製造されている。また、Barcelonaは半導体本体上に設計(シングル・ダイ)されており、メモリを迅速かつ容易に共有できるとされる。

 新プロセッサは当初、エネルギー消費レベルの異なる2種類のバージョンが提供される予定だ。1つは消費電力が95ワットの標準モデル、もう1つは消費電力が65ワットの低出力モデルである。クロック速度は、標準モデルが最高2GHz、低出力モデルはそれより100~200MHzほど遅くなるという。

 また、AMDは2007年第4四半期にクロック速度が3GHzの高速プロセッサをリリースすることも明らかにしている。デュアルコアOpteronとクアッドコアBarcelonaの両プロセッサ・ラインは、同一の「熱設計」でデザインされており、デュアルコアOpteronユーザーがクアッドコア・プロセッサに移行するのは難しくない、と同社は強調する。

 AMDのサーバ/ワークステーション製品担当世界マーケット開発マネジャー、ジョン・フルーエ氏は、「これまで販売してきたOpteronの大半が標準出力の製品だったが、エネルギー効率の向上を求める消費者が増加の一途をたどっている」と述べ、こうしたニーズに応えるために、早い段階から低出力チップを提供しようと考えていたと説明する。

 Intelは、「Clovertown」という開発コードネームのクアッドコアXeonプロセッサを2006年11月にリリースし、すでに100万台以上を出荷したことを明らかにしている。

 カリフォルニア州サラトガのリサーチ会社インサイトで、アナリストを務めるネイサン・ブルックウッド氏は、AMDのクアッドコア・プロセッサをIntelのXeon 5300ラインと比較するためには、前者のベンチマーク・データや実環境でのユーザー・エクスペリエンスなど、パフォーマンスに関するより具体的な情報が必要だと指摘する。

 「AMDから提供された情報は、明確な分析をするには不十分だった。AMDは新プロセッサのクロック速度を2GHzとし、IntelのClovertown製品に対抗しうるとアピールしているが、その証拠となるデータはない」(ブルックウッド氏)

 ブルックウッド氏はさらに、「Intelが45nmプロセスのクアッドコア・プロセッサを提供する数カ月後」には、また状況が変わっていると見ている。同氏は、来年の今ごろまでにはAMDも3GHzのクロック速度を実現しているはずだと予想する。

(パトリック・ティボドー/Computerworld オンライン米国版)

米国AMD
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提供:Computerworld.jp