Open Web Analytics:WordPress用のアクセス解析プラグイン

 WordPressは高機能な「個人出版」用プラットフォームだが、トラフィック解析に関する機能はほとんど提供していない。そこでトラフィックのパターンを研究して、訪問者がどういう人たちで何を見に来ているのかについてもっと把握したいなら、OWA(Open Web Analytics)を試してみよう。OWAは、サイトのトラフィックに関する豊富な情報を提供してくれる、使いやすいWordPress用のプラグインだ。

 OWAプラグインは、OWAのウェブサイトからtarファイルとして入手可能だ。ダウンロードして、WordPressのディレクトリのwp-content/plugins内で解凍しよう。その後WordPress管理用ダッシュボードからプラグインのページへ行き、プラグインを有効にする。

 インストールが完了すると、OWAプラグインはWordPressのダッシュボードにシームレスに統合される。Dashborad(ダッシュボード)タブをクリックすると、メニューにAnalytics(アクセス解析)があることを確認できるはずだ。このAnalytics(アクセス解析)をクリックすると、Dashboard(ダッシュボード)、Traffic Sources(トラフィック元)、Visitors(訪問者)、Content(コンテンツ)、Feeds(フィード)という5つのナビゲーションタブが表示される。以下では、OWAダッシュボードから順にこれらの各タブを紹介する。

OWAダッシュボード

 OWAのDashboard(ダッシュボード)ページでは、トラフィック、ユニーク訪問者、人気のあるページ、被リンク数の多いページ、最近の訪問者に関する情報、訪問者がどこから来たのか、などOWAが提供するすべての情報の概略が表示される。

 ページのトップにはレポート・フィルタがある。OWAを使用して複数のサイトを追跡している場合には、ここでサイトを限定することができる。またレポートの対象期間を過去30分から過去一年間の間で自由に指定することができる。

トラフィック元

 Traffic Sources(トラフィック元)タブには、いくつかのページがある。メインのページでは、訪問の合計数や、どこから訪問があったのか(検索エンジン、フィード、リンク元のウェブサイト、ユーザが直接的にサイトを訪問など)についての総合的な概略が表示される。

 このページはデフォルトではその日のトラフィックを表示するが、メインのダッシュボードと同様に、対象期間を指定して表示することもできる。

 またリンク元のウェブサイトについてのページでは、自分のサイトに来るのに訪問者がたどってきた参照元のサイトやページの一覧を見ることができる。例えば私のサイトの場合、NewsForgeの記事から直接来る訪問者もいれば、Googleの検索結果からやって来る訪問者もいることがわかる。

 さらに検索エンジンについてのページでは、どの検索エンジンから何人の訪問者がやって来たのかを知ることができる。私の場合、私のサイトの訪問者がもっともよく使用している検索エンジンがGoogleであったことには驚かなかったが、Google.comではなくGoogle.grやGoogle.dkなどのGoogleの地域別のページを利用していた訪問者が多かったことには驚いた。なおAOL検索とYahoo検索を利用した訪問者の数はあまり多くなく、MSNはリストのランク外だった。

コンテンツ

 サイト所有者がよく感じる疑問の一つに、「訪問者は何を目当てに自分のサイトに来るのだろうか」というものがある。Content(コンテンツ)タブの中には、 訪問頻度の高いページや訪問頻度の高いカテゴリを知るのに役立つ閲覧開始ページ/退出ページについての情報がある。

 例えば私のサイトの場合、統計は「月ごとのアーカイブページ」「ホームページ」「記事ページ」「検索結果ページ」「不明ページ」に分類されていた。訪問者がサイトに来てWordPressの検索を使用すると、そのことは「検索結果ページ」にカウントされる。また訪問者が最初に訪れたのがホームページであった場合には、「ホームページ」にカウントされる。また当然ながら、サイト内のどの記事にもっとも人気があるのかを知ることもできる。これは、ユーザがどのようなニュースや記事にもっとも関心を寄せているのかを判断するための材料となる。私としては、このプラグインから得られるような情報が何年も前からあればと悔やまれるほどだ。

 一方、あまり感心できなかったことも一つだけあった。OWAが「不明ページ」として分類するページについて、それ以上の情報を提供していないので、実際にどのURLのことを指しているのかが私には「不明」だということだ。おそらく不明ページというのは、記事やホームページを表示しないページのことで、おそらく誤リンクやロボットが原因の404エラーのことだと思うのだが、実際にはよく分からない。

フィード

 直接サイトを訪問するのではなくフィード経由で記事を読んでいる人たちがどれほどいるのかということについて興味を持ったことはないだろうか。OWAを利用すると、サイトのフィードを取得した読者数とユニーク読者数を知ることができる。ただしこのFeeds(フィード)ページには、サイトを実際に訪問したフィード読者数についての情報はなく、その情報はTraffic Sources(トラフィック元)ページに表示されている。

訪問者情報と地理的位置情報

 Visitors(訪問者)タブには、訪問者の「忠誠度」を表示するページ、どのドメインやネットワークから訪問者が来たのかを表示するページ、訪問者の地理的位置情報を示すページという3つのサブページがある。またこのページでは、サイトに訪問するために使用されたブラウザのタイプも見ることができる。しかし残念ながらGoogle Analyticsでは見慣れた、オペレーティングシステムや画面の解像度についての情報はOWAでは追跡(より正確には、少なくとも表示は)していない。

 訪問者の忠誠度を示すページでは、訪問数、一訪問あたりの平均閲覧ページ数、ユニーク訪問者数、リピート訪問者数などを見ることができる。ここでもやはり、統計の対象期間を過去30分から過去一年間の間で自由に指定することができる。

 また地理的位置情報のページでは、サイトへの訪問者の大まかな地理的位置も表示される。番地に至るまでの詳しい情報を示すことはできないが、市レベルにまで絞ることはできる。この機能を有効にするためにはGoogle Maps APIキーが必要となるが、登録して取得するのは簡単だ。この機能を有効にするとOWAは世界地図を生成して、サイトへの訪問者一人一人がどこから来ているのかを表わす「ピン」を表示する。各ピンをクリックすると、それぞれの訪問者がどのネットワークから来ているのかや、最後に閲覧したページ、地理的な所在地、訪問日時、(適切な場合には)サイトを訪問する前に閲覧していた参照元のページなどの訪問者情報をさらに見ることができる。地理的位置情報のページには訪問者情報を表示したサイドバーもあり、そこにあるリンクをクリックすることによっても詳しい情報を得ることができる。

OWAをカスタマイズする

 OWAの大部分の機能は何も調整せずにそのままの状態で使用してもちゃんと機能するが、OWAのAdmin Settings(管理設定)リンクをクリックすると、変更可能な設定項目がいくつか用意されている。

 Admin Settings(管理設定)ページでは、Google Maps APIキー、エラーログ、イベントログ、OWAにホスト名を解決させるかどうか、フィードリーダーや既知のロボットからのリクエストをログに記録するかどうかなどを設定することができる。

 OWAに本当に必要だが欠けていると唯一感じた点は、レポートを生成したりデータをエクスポートしたりするための機能がないということだ。OWAのインターフェースは優れているが、上司や潜在的な広告主など自分以外の人にデータを見せたい場合に利用することのできる優れたツール群がOWAには備わっていない。

 またOWAの文書はやや不足気味であり、ダッシュボードに表示される情報の意味についての詳しい説明があまり提供されていない。ほとんどのことについては見れば分かるようにはなっているものの、例えば各訪問者の横に表示されている数字など、いくつかのことに関しては意味が明らかではなく、それが何の情報を示しているのかをまさに説明している文書を私は見つけることができなかった。

 ウェブサイト用のアクセス解析パッケージにはより強力なものもあるが、私が知る限りOWAはWordPress用として最も優れたフリーソフトウェアのアクセス解析パッケージの一つだ。OWAはWordPressにシームレスに統合され、かなりの量の情報を読みやすい形で提供してくれる。

 WordPressでブログを運営していて、サイトのトラフィックの量や訪問者がどこから来ているのかということについて関心がある人には、OWAプラグインは必須アイテムだ。私はOWAをGoogle Analyticsと併せて利用しており、サイトの訪問者についてできるだけ多くのことを知るために両方のツールを利用できるということが非常に気に入っている。

NewsForge.com 原文