LinuxパソコンをPDF作成用マシンに

 その昔、ペーパーレス・オフィスが喧伝された時代があったのを覚えているだろうか。もしそれが実現されていたら、今ごろ私たちは文書という文書をすべてデジタルで扱っており、あらゆるものをコンピューターを使って電子的に処理することで森を救っていたはずだ。そうはならなかったにしても、せめて、すぐに要らなくなるはずの文書を手元に置いておくために印刷などしたくないとお思いなら、お使いのLinuxパソコンをネットワークのどこからでも使えるPDF作成装置にしてみてはいかがだろうか。

 PDFで保存した方がよい文書とは? たとえば、オンライン・ショップで買うと大概のサイトで発行される領収書。注文の電子メールが行方不明になった場合や経費の報告書に領収書を添付するときに必要になるから暫くは保存しておかねばならない。しかし、そのためだけにFirefoxに表示されたあらゆる領収書を紙に印刷したくはない。とはいえ、FirefoxではPostScriptにしか出力できない。PDFはサポートされていないのだ。

 そこで登場するのが、Common UNIX Printing System(CUPS)とCUPS-PDFドライバーを搭載したLinuxマシンだ。筆者が試用したのはUbuntu Feisty上だが、CUPSとCUPS-PDFドライバーが搭載されていれば、どのLinuxディストリビューションでもよい。

 CUPS-PDFはあらかじめインストールされていないので、「sudo apt-get install cups-pdf」コマンドで組み込む必要がある。組み込んだら、次に印刷ジョブをPDFファイルに変換する仮想プリンターを追加する。まず、「System」→「Administration」→「Printing」の順にメニューを辿り、プリンター構成ダイアログを開く。そのダイアログのツールバーにある「New Printer」を選ぶと、New Printer Wizardが開くので、それに従って設定していく。最初はプリンターの名前だ。ほぼ任意の名前を付けることができるが、「PDF」とするのがわかりやすいだろう。「Description」(説明)と「Location」(設置場所)の各フィールドは必要に応じて入力すればよい。

 次の画面では接続を選択する。ここでは「Virtual Printer」を選ぶ。デバイスのURIは「cups-pdf:/」のままにしておく。次の画面ではデータベースから「Printer」を選択する。ここでは「Generic」を選ぶ。次の画面の「Model」とそのドライバーでは「PostScript」を選ぶ。以上で設定は終わり、「Going to create a new printer PDF at cups-pdf:/」というメッセージが表示される。ここで「Apply」をクリックすると、仮想PDFプリンターが作られる。

 これで、Linuxアプリケーションから印刷ジョブをPDFプリンターに送るとPDFファイルが作成されるようになった。ホーム・ディレクトリーの下には仮想プリンター名を含む名前のディレクトリーが作られ、PDFプリンターに送ったジョブはこのディレクトリーに保存される。たとえば、仮想プリンター名が「PDF」の場合は/home/ユーザー名/PDFに保存されることになる。

 ただし、一部のLinuxアプリケーションで、印刷は何事もなく終わるのに長さがゼロのファイルが作られる場合がある。Operaはその一つで、仮想プリンターへの印刷処理ではエラーは報告されないのに、結果は空ファイルだ。一方、FirefoxとThunderbirdではまったく問題はない。

 今あるGNOMEとKDEのアプリケーションの多くはPDFに直接印刷できるかPDFファイルにエクスポートできるため、仮想プリンターを使う必要はない。しかし、ネットワーク上にWindowsマシンがあり、WindowsアプリケーションからPDFを作りたいが高価なAdobeのツールは買いたくないという場合は、この仮想プリンターは本当に便利だ。