業績好調のAppleで、ストック・オプション問題が再浮上――元幹部がジョブズ氏の関与を主張、Apple側は同氏を擁護

 米国Appleは4月25日、2007年度第2四半期(1月-3月期)の決算報告を発表し、純利益が前年同期比88%増の7億7,000万ドルに達したことを明らかにした。

 発表によると、売上高は前年同期比20.6%増の52億6,400万ドル(前年同期は43億6,000万ドル)、1株当たりの利益は87セント(同47セント)となり、アナリストの予測を上回る結果となった。米国トンプソン・フィナンシャルが事前に発表したアナリスト予測では売上高51億7,000万ドル、1株当たりの利益は64セントだった。

 同社では業績好調の理由として、「Mac」シリーズの販売台数が前年同期比24%増の150万台に達したこと、携帯音楽プレーヤ「iPod」の販売台数が1,050万台(同39%増)と1,000万台を突破したことを挙げている。

 同社の好調な業績は、2007年6月30日を末日とする第3四半期も継続すると見られている。第3四半期の決算には、今年1月の「Macworld Conference&Expo」で発表された「iPhone」の販売台数が含まれる可能性があるからだ。同社ではiPhoneの出荷開始時期を6月下旬としている。

 なお、同社のCFO(最高財務責任者)ピーター・オッペンハイマー氏は、第3四半期の業績について、売上高が約51億ドル、1株当たりの利益が66セントという予測値を明らかにした。

 一方、好調な決算報告とは裏腹に、以前から懸念されていたストック・オプションの不正付与に関する問題が再浮上している。

 これは、同社がストック・オプション取得の付与日を、株価が安かった以前の日付にさかのぼって記録する「バックデート」を行い、多額の利益を得たとされる問題だ。

 米国証券取引委員会(SEC)は、この問題に関与したとして、Appleの元CFOであるフレッド・アンダーソン氏を提訴していた。しかしアンダーソン氏は4月24日、不正取得した350万ドルの利益と罰金を支払うことでSECと合意し、両者は和解している。

 問題はそのあとだ。アンダーソン氏は同日、弁護士のジェローム・ロス氏を通じて、AppleのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏を非難する内容の声明を発表したのだ。

 声明の中でアンダーソン氏は、「ストック・オプションのバックデート付与は取締役会の事前承認が必要であるとジョブズ氏に警告しており、バックデートの承認はジョブズ氏に一任していた」と主張している。

 一方、Appleの幹部7名は決算報告当日の25日、アンダーソン氏の声明に対し、ジョブズ氏を擁護する公式声明を発表した。

 公式声明には、ジョブズ氏が内部調査およびSECの調査に全面的に協力したこと、アンダーソン氏およびその弁護士と言い争う意図はないことが記されている。

 なお、同社の元法務顧問、ナンシー・ハイネン氏もストック・オプションのバックデート不正に関与した容疑でSECに提訴されている。ハイネン氏にはSECと和解する意思は表明しておらず、今後両者は連邦裁判所で争うと見られている。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Apple
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提供:Computerworld.jp