IONA、SOA対応オープンソース企業のロジックブレーズを買収──SOAソフトウェア・スタック「Fuse」を手中に

 アイルランドのIONA Technologiesは4月10日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)対応のオープンソース・ソフトウェアを提供する米国ロジックブレーズを買収したと発表した。買収金額は公表されていない。

 ロジックブレーズは、オープンソースのSOA対応ソフトウェア・スタック「Fuse」を提供している企業である。Fuseは、「Apache ActiveMQ」メッセージング・システムや「Apache ServiceMix ESB(Enterprise Service Bus)」などのオープンソース・コンポーネントを組み合わせたものだ。

 今回の買収により、IONAは、オープンソース・ソフトウェアを使ったSOA環境の構築を推進している顧客企業に対し、より充実した専門的知識や技術を提供することが可能になる。なお、ロジックブレーズのスタッフはすべてIONAに移籍するという。

 ただし、IONAがロジックブレーズと同様にFuseを1つのスタックとして顧客に提供するかどうかは定かではないようだ。

 IONAの企業戦略/製品管理担当バイスプレジデント、ラリー・オールストン氏は、「Fuseは各種のオープンソース・ソフトウェアから成る非常に大規模なスタックだ。従来われわれは、そうしたスタックを扱っていない」と語る。

 IONAはおそらく、Fuseの各コンポーネントを個別に提供することになりそうだ。ただしオールストン氏は、「われわれは、ロジックブレーズが抱える20以上の顧客企業に“継続性”を提供したいと考えている」とコメントし、Fuseのサポートを引き続き提供していく姿勢を示唆している。

 IONAは今年3月にもデータ管理ソフトウェア開発企業の英国C24を買収し、同社の主力製品である分散SOAインフラ・ソリューション「Artix」にデータサービス機能を追加している。IONAはSOA関連企業を積極的に買収することで、SOA製品の拡充を図りたいようだ。

 かつてIONAは、電気通信事業者や金融機関向けのORB(Object Request Broker)製品である「Orbix」のベンダーとして知られていたが、現在Orbixは売上げ減少の一途をたどっている。

 しかし、事業の機軸をSOAに据えたことにより、IONAの業績は向上している。2006年第4四半期において同社は増収増益を達成し、売上高2,280万ドル(前年同期1,910万ドル)、純利益290万ドル(同96万ドル)を計上している。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)

IONA Technologies(アイルランド)
http://www.iona.com/

提供:Computerworld.jp