表舞台に立つ準備を整えたLinuxBIOS

7年間の活動を経てようやく、LinuxBIOSプロジェクトはフリーのBIOSをコンピュータの標準オプションにしようというところまで到達した。リソースの不足、一部の独占的チップセットメーカーやOEM業者からの抵抗といった大きな問題が残ってはいるが、LinuxBIOSにとって有利なのは、あと数ヶ月もすればコンピュータの平均的な購入者が入手できるようになることだ。

LinuxBIOSのねらいは、チップセット内のプロプライエタリなファームウェアを思想的にフリー(自由)なファームウェアに置き換えることにある。LinuxBIOSは、メインボードの立ち上がりから、ペイロード ― Etherbootなど、カーネルを起動できる実行ファイル ― がマシンのブートを完了できるところまでの動作に必要な最小限のコードで構成されている。その名が示すように、これまでの活動はLinuxカーネルの利用に注力して行われているが、同様のテクノロジはWindowsやブートマネージャのGRUBを用いたマシンの起動にも使用できる。

このLinuxBIOSプロジェクトは、1999年にロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)のRon Minnich氏によって創設された。もともとは組み込みのシステムやクラスタを対象としていたが、同プロジェクトはすぐに手を広げてサーバやワークステーションにも取り組むようになった。活動の低調な時期があったにもかかわらず、プロジェクトは毎年「10倍ずつ成長」を遂げてきた、とMinnich氏は言う。LinuxBIOSプロジェクトは、2005年にフリーソフトウェア財団(FSF)の優先プロジェクトのリストに加えられ、最近ではOne Laptop Per Child(OLPC)プロジェクトが発展途上国を支援するための安価なコンピュータの開発にLinuxBIOSの採用を決めたことで、さらに勢いを増した。

またプロジェクトの歴史を通して、チップメーカーとOEM業者からの支援も受けてきた。プロジェクト発足時はIntelからの情報も容易に手に入った、とMinnich氏は回想する。だが今ではIntel製チップに関する情報の規制は厳しく、Intelはミックスソースによる同社のExtensible Firmware Interface(EFI)を次世代のチップテクノロジとして普及させたい考えだ。これに対してAdvanced Micro Devices(AMD)は、LinuxBIOSの支援開始は遅かったが、現在では同プロジェクトに大きく貢献している。LinuxBIOSプロジェクトを支持するOEM業者には、Acer、Advancetech、SIS、Mementum Computer、Newisysといった企業が含まれる。またLinuxBIOSプロジェクトは、同じような目標を掲げるOpenBIOSとも緊密な連携をとっている。

OLPCのBIOSリリースマネージャRichard Smith氏は、次のように述べている。「現在、リポジトリのツリーにはそれぞれに完成度の異なる約30のチップセットが存在する。特にAMD製のボードはLinuxBIOSへの対応が進んでいる」

FSFのシステム管理者Ward Vandewege氏は、これまで14カ月をかけてFSFのサーバを段階的にLinuxBIOSにアップグレードしてきた人物だ。このテクノロジはBIOSについてそれなりの知識を持ったハッカーであれば改造が可能だが、それでもフリーソフトウェアコミュニティの大半の人々が手を加えようとするには敷居が高いだろう、と彼は述べている。

2005年の時点で、LinuxBIOSは100万台を超えるコンピュータにインストールされていたが、その大部分はSTPC Consumerによってインドで開発されたインターネット端末だった。OLPCや類似のプロジェクトのおかげで、この数は2008年末までに1億台を超える可能性がある、とMinnich氏は見積もっている。