O3Spaces、文書コラボレーションでSharePointに挑戦

スタンドアロンのオフィス・ツールであるOpenOffice.orgには、Microsoft OfficeにおけるSharePointに相当するようなバックエンド・ソリューションが欠けていた。つまり、オフィス・スイートを統合して文書を共有・管理する環境を作り上げるソフトウェアがなかった。確かに、バージョン管理アプリケーションやユーザー管理アプリケーションは幾つかある。しかし、OpenOffice.orgと連携して普通の人にも簡単に使えるようなアプリケーションは一つもなかったのだ。その空白を埋めるべく登場したのが、若いオランダ企業がリリースしたO3Spacesだ。OpenOffice.orgやその商用版であるStarOfficeを使うワークグループや小規模企業向けの、コラボレーションと文書管理のための統合アプリケーションである。

以下は、O3Spaces試用報告である。O3Spacesの体験版は周到に設定されたVMware仮想マシンとして提供されている。自分でインストールし設定するには結構な時間と手間が必要になることを考えると気が利いている。

O3SpacesはTomcat/PostgreSQLスタックの上にJavaで構築されており、Webベース・インタフェースとWorkplace Assistantという名のデスクトップ・ユーティリティから構成されている。Webインタフェースは巧みに設計されており、多くの機能があるにも拘わらず、すべて簡単な操作で使うことができる。Workplace Assistantは、OpenOffice.orgとO3Spacesをつなぐユーティリティである。

StartSpace
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O3Spacesは、ワークスペースという概念を基礎としている。ワークスペースは作業場所であり、特定の作業やプロジェクトのために作られた文書の保管庫でもある。さらに、チームのスケジュールが記載されたカレンダーやメンバーが意思疎通を図るためのフォーラムといったコラボレーション・ツールも備えている。ワークスペースは、NavigationバーにあるWorkspacesメニューで簡単に切り替えることができる。このNavigationバーから、ファイルを検索したり、ワークスペースのフォーラム・ページを開いたりすることもできる。

Webインタフェースはタブ方式のため、ロケーションやページが多くなっても扱いは容易だ。タブ上では、スペースレットを使って、特定のコンテンツ(あるワークスペースにある文書やファイルなど)を置くコンテナー、または、ウィジェット(CalendarやTextやAnnouncementsにアクセスできる)として整理されており、表示は見やすい。ワークスペースのメイン・ページには、Recently Changed Documents、Versions、Team members、Calendarなどのスペースレットなどが置かれる。新しいタブを作って、そこにスペースレットを置くこともできる。Web 2.0とちょうど同じように、スペースレットをドラッグ&ドロップして再配置することもできる。文書の管理は、従来のファイル・マネージャーと同様に、フォルダーやファイルを切り取ったり、コピーしたり、貼り付けたり、移動したりできる。また、文書のチェックインとチェックアウトも可能。

もちろん、強力な索引付けと検索の機能もあり、文書(PDFファイルも)内を検索し、文書のバージョン、ディスカッション、ノートを調べることができる。

一方、Workplace Assistantユーティリティには、次の3つの機能がある。すなわち、デスクトップから特定のWorkspaceを直接開く機能、O3SpacesとOpenOffice.orgを結ぶ機能、ワークスペースの変更を常時把握するためのリアルタイム通知機能である。

中でも重要なのは、プラグインを使って実現されているOpenOffice.org/StarOfficeとの統合だろう。プラグインは、Workplace Assistantを使って簡単に設定できる。それだけで、OpenOffice.orgの中からワークスペース上の文書に直接アクセスできるようになる。しかも、Webインタフェースを使わずに、あらゆる種類の操作を実行できるのだ。たとえば、文書を編集でオープンすると自動的にチェックアウトされ、編集を終えれば自動的にチェックインされる。さらに、編集のたびに文書のバージョンが作成される。Workplace Assistantを動作させておけば、Webインタフェースから文書を選択し、それをOpenOffice.orgで直接開くこともできる。

Microsoft Officeの文書フォーマットにも対応しており、外部との「互換性」を保つ必要のあるワークグループや企業にとっては便利だ。

Studio
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保守管理も容易だ。そのために用意されているO3Spaces Studioの最初の画面から、Company Management(管理者用。企業プロファイルの追加・変更・削除)、Workspace Management(ワークスペースの管理用ツールを起動)、User Management(ユーザーに関するタブの保守)、Workplaceツール(サーバーとバックアップの管理)など、基本的な管理を行うことができる。

O3Spacesには、On Demand、Professional、Openという3つのエディションがある。前2者は有償版、後者はオープンソース版で2007年提供予定。

概して言えば、O3Spacesはよくできていると思われる。インタフェースは見栄えがよくさまざまにカスタマイズ可能、OpenOffice.org/StarOfficeと連携し、ほとんどの企業がコラボレーションや文書を効果的に管理するために必要とするであろう機能を網羅している。O3Spacesがあれば、小規模企業やワークグループにとって、OpenOffice.orgはMicrosoft Officeの現実的な代替アプリケーションとなるだろう。

Dmitri Popov、フリーランスのライター。ロシア、英国、ドイツ、デンマークのコンピュータ系雑誌に寄稿している。

NewsForge.com 原文