米Novellが所有していた特許の買収問題、買収条件が変更されるもOSIは引き続き懸念を表明

 オープンソース推進団体のOpen Source Initiative(OSI)は4月7日、米Novellの特許を取得するCPTN Holdingsについて最新情報を公開した。CPTNはOSIなどが主張する「オープンソースに与える影響」に関する懸念を受けて取引条件を変更したが、OSIはこの変更に対し「一部は評価するもの引き続き警戒している」という見解を示している。

 2010年11月に米AttachmateによるNovellの買収が行われたが、その際にNovellが所有する882件の特許についてはAttachmateは取得せず、CPTNがこれを買収するという方針が発表された。CPTNのメンバーは米Microsoft、米EMC、米Oracle、米Appleの4社で、買収金額は4億5000万ドル。買収する882件の特許はコードにして10億行となり、1500億ドル以上の価値があるとOSIは見積もっている。

 取引の発表後CPTNはドイツの規制当局(FCO)に買収の承認を申請、その後2011年1月に申請を撤回していた。OSIは当初からCPTNの役割に懸念を表明しており、調査の必要性を主張してきた。1月には、Free Software Foundation(FSF)と共同で米司法省に対しても調査を依頼している。

 その後CPTNは買収の条件を変更し、FCOに再度取引承認の申請を行った。FCOがOSIの見解を求めたため、OSIはFCO経由で得た最新情報とFCOに提出したレビューを合わせて公開した。

 OSIによると、新しい申請での変更箇所は下記の4点とのこと。

  1. CPTNは特許を分け合うためにのみ存在(最長3カ月)し、長期的にパテントトロールとなることはない
  2. 参加企業はすべてのNovell特許のライセンスを保有する
  3. Microsoftは特許をAttachmateに売却し、特許ライセンス権のみを保有する
  4. EMC(子会社に仮想化大手のVMwareを持つ)がこの取引で仮想化関連の特許を買収することはない

 OSNによるレビューでは、Microsoftに関する修正を重要視、これにより「この取引への(Microsoftの)参加が異議のないものとなる」と評価した。また、EMCについては「オープンソースソフトウェアの信頼を弱める目的でNovellの特許を戦略的に使う」可能性などの懸念を示しながらも、仮想化関連特許は買い取らないと修正することで1つ反対事項がなくなった、と評価した。

 だが、OracleとAppleに対しては「非常に警戒している」と記している。Oracleはミドルウェア、OS、仮想化、モバイルアプリケーションとプラットフォームの4つの分野で独占的地位を強化しかねないとし、Appleについては、オープンソースの「Android」と競争を繰り広げているモバイルアプリケーションとプラットフォーム分野で懸念があるという。

Open Source Initiative
http://www.osi.org/