Linuxカーネル2.6.36リリース、AppArmorがマージされる

 Linux創始者のLinus Torvalds氏は10月20日、Linuxカーネル2.6.36を公開した。Tileraアーキテクチャが新たにサポートされたほか、セキュリティ機能AppArmorを含むなどの新機能や機能強化が盛り込まれている。

 Linuxカーネル2.6.35が8月にリリースされて以来、3カ月を切る短い間隔でのリリースとなったが、Torvalds氏は「予定より1週間遅れ」と述べている。

 Linuxカーネル2.6.36での大きな新機能として、まず米TileraのCPU「TILE」シリーズをサポートする点が挙げられている。TILEは多数のコアやキャッシュなどを1チップ内に搭載するプロセッサで、2007年に第一弾製品となる「TILE64」がリリースされている。

 「Fanotify」という新たなファイル通知インターフェイスもマージされた。これは、ファイルに対しオープン/クローズやリード/ライトといった操作を行う際に通知を行う機構で、たとえばファイルアクセス前に対象ファイルのウイルスチェックを行う、といった処理を実装するのに利用できる。ただし、Linus氏による2.6.35のリリース告知メールによると、インターフェースに不安を持つユーザーが多いことからFanotifyは無効化されているとのこと。

 また、AppArmorのマージも行われた。AppArmorはSUSE Linuxが採用するセキュリティ機能で、システム管理者は同機能を利用してアプリケーション毎にアクセス制御できる。

 グラフィックカードの初期化や設定などをカーネルで行う機能「Kernel Mode Setting(KMS)」とカーネルデバッグ機能であるKDBのインテグレーションも行われた。Xのデスクトップが起動している際にSysrqキーとgキーを同時押しすることですぐにKDBコンソールに切り替えられるという。

 そのほか、「Concurrency-managed workqueues」やCore i3/5に搭載されている動的電源管理機能のサポート、リモートファイルシステムのローカルキャッシュ機能「FS-Cache」におけるCIFSサポート、デスクトップの反応性の改善、Out Of Memory(OOM)killerのリライトなども行われている。

LKML
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Linux 2.6.36のサマリ
http://kernelnewbies.org/Linux_2_6_36