Bilski事件:米最高裁、Bilski氏の特許は拒否するも、ビジネス方法の特許に可能性残す

 米最高裁判所は6月28日(米国時間)、ビジネス方法の特許化に関する訴訟「Bilski事件」の判決を下した。原告のBilski氏の特許出願は無効としたが、特許対象についてはあいまいさを残したものとなった。

 Bilski事件はBernard L. Bilski氏が起こした一連の訴訟。Bilski氏は商品取引のリスク管理に関するビジネス方法の特許出願を行ったが、米特許庁より却下されたことを受けてこの訴訟を起こした。この裁判はビジネス方法、さらにはソフトウェア特許が関係するものとして広く注目されていた。

 連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は2008年10月、特許庁の判断を支持、ビジネス方法が特許の対象となるかどうかを判断する手法として「機械または変化テスト」の基準を挙げていた。これは、プロセスが機械や装置に結び付けられること、ある物を別の状態や物に変換することを意味する。

 最高裁は、Bilski氏のビジネス方法については「抽象的なアイディア」として特許対象にならないとしたが、「機械または変化テスト」のみが特許対象の基準ではない、とする見解を下した。米特許法第101条では「プロセス」を特許権の対象保護と規定しており、プロセスも特許化可能とする見解の余地を残すことになる。

 ソフトウェア特許反対の観点から最高裁に意見書を提出していたSoftware Freedom Law Centerは同日付で判決に関する声明文を発表、裁判所の判決はBiliski氏の特許出願は拒否したが、「思考とプロセスは特許可能とすることで肝心の部分を取り扱っていない」と遺憾を表明している。

米最高裁判所の判決文
http://www.supremecourt.gov/opinions/09pdf/08-964.pdf

Software Freedom Law Center
http://www.softwarefreedom.org/